現在は会社員として一般企業に勤務しながら、「自宅開業」という区分で税理士登録をしています(追記:現在は一般企業を退職し、独立しています)。
試験合格後、会社員を続けながら税理士登録することを決めた理由を振り返ってみます。
登録しなくても仕事はできる
税理士試験受験生の属性はいろいろです。
学生、無職(勉強専念)、税理士事務所勤務、一般企業勤務など。
最近では一般企業に勤務している受験生も増えてきているようですが、それでもまだそれほど多い比率ではないのではないかと思います。
一般企業の経理部に勤務していると、税務に関する知識が必要なことはたくさんありますが、税理士資格そのもの(正式に登録しているという意味で)が必要とされる場面はありません。
そもそも自分が勤務している会社の法人税申告書に税理士としてサインをすることもできませんし。
その意味では
「専門性を高めることを目的として、会社に勤務しながら税理士試験に合格した人」
は、合格直後に登録してもしなくても、会社での業務にはあまり影響がないということになります。
なお、もしも将来的に「税理士事務所に転職しよう」あるいは「独立しよう」と考えているならば、それを決めてから税理士登録しても十分間に合うのかなと思います。
(実務経験などの資格を満たしていれば、書類提出から登録完了まで約2ヶ月です)。
半年後、1年後の自分を想像してみる
試験に合格したあと、登録するかどうか漠然と考えていたときに、
「一般企業に勤務している税理士試験合格者」
が集まる懇親会に参加する機会がありました。
参加者のなかには「登録している人」も「登録していない人」もいましたが、それぞれの考え方はざっくり次のような感じでした。
登録している理由
・「税理士」という肩書きを持つことで、自分に緊張感を持たせる。
・専門家として勉強し続けなければならないと意識しやすい。
・勤務先の許可が得られれば税理士業務を行える。
登録していない理由
・税理士業務をやらないから登録する必要がない。
・登録することについて勤務先の許可が取りにくい。
そのなかで印象的だったのが、登録していない複数の方から聞いた
「税務とあまり関係ない仕事をしていると、自分が税理士の有資格者であることを忘れてしまうことがある。」
という発言でした。
これを聞いて、「もしかしたら半年後、1年後に自分も同じことを言っているのではないだろうか?」とかなり焦りました。
もちろんいろいろな考え方がありますし、そのような方々を否定するつもりもさらさらありません。
しかしながら、少なくとも自分はそのような発言をするために苦労して勉強したわけではありません。
むしろ、合格する前後で何も状況が変わらないのであれば「やらなくても良かったのでは?」なんて思ってしまいます。
結局、自分が近い将来どちら側でいたいかを考えた結果、登録することに決めました(決めたのは試験合格から2ヶ月以上後のことになります)。
登録する場合のデメリット
勤務先の許可も得て登録することにしましたが、登録にはデメリットもあります。
お金
1つめのデメリットはお金です。
税理士登録するには、登録費用や年会費が結構かかります。
サラリーマン税理士の場合、自己負担になる可能性が高いと思いますので、注意が必要です。
見返してみると、ざっとこんな感じです。
・登録料 11万円(登録免許税6万円、登録手数料5万円)
・税理士会の年会費 約16万円(支部により異なります)
・その他(登録時研修費用など)
これ以外に将来返還されものの、預託金も5万円払っていますので、なんだかんだで登録時に30万円以上の現金が出ていくことになります。
税理士会の年会費も毎年自腹です。
なお知人によれば、税理士事務所勤務の場合、勤務先の事務所が費用を負担してくれるケースが多いらしいので、かなり恵まれていますね。
時間
そして2つめのデメリットは時間です。
例えば、登録時研修として3日間の研修受講が義務付けられています。
所属する支部によりますが、私の所属している支部では平日に3日間連続で開催され、有給休暇を取得して受講することになりました。
またこれ以外にも、確定申告時期の相談員業務も義務付けられていて、2月から3月に数日間の有給休暇を取得する必要があります。
一般企業の場合、業務に直結する内容の研修への参加であれば理解が得られやすいと思います。
一方で、税理士資格を維持するための研修や個人の確定申告のサポート業務のために会社を休むことができるのか、会社や上司によっては厳しいケースがあるかもしれません。
これらのことも加味して登録するのかどうか、慎重に検討する必要があります。
登録後半年経って感じていること
登録にはこのようにデメリットもありますが、私としては登録して良かったと考えています。
環境に恵まれていることもありますが、繁忙期以外は時間をやり繰りしながら、仕事を抜け出して研修を受けることもできます。
また、税理士という資格についての中途半端な状態(受かったけど登録はしていません、というような面倒な説明をすることなど)から解放されたことも精神的に大きいです。
もしも試験合格後に登録するかどうか迷っている会社員の方がいれば、なんとか環境を整えてでも(そのためには日頃の仕事ぶりも大切ですが)、登録されることをおすすめします。
【編集後記】
今日は久々に税理士会支部の会合に出席しました。研修は「税理士の綱紀監察」で、脱税幇助など懲戒事例などが多く紹介されました。
そもそも例会に来るような人はこんな問題を起こさないのでは?なんて思ったりもしますが、実際はどうなんでしょうか。