中古資産を買った場合の耐用年数の考え方。「4年落ち中古車」がキーワードとして使われる理由。

本屋さんの税金コーナーや節税対策コーナーに行くとよく見かけるのが、「中古資産」「ベンツ」「4年落ち」と行ったキーワードがタイトルに使われている書籍です。

今回は、中古資産、耐用年数の考え方を整理してみます。

固定資産を経費にする減価償却。耐用年数と減価償却方法について。

固定資産を買った場合、買った期に全額を経費にすることはできません。

その資産を使用できる期間にわたって、毎期少しずつ経費にしていく必要があります(減価償却)。

そして、その経費にする金額をどのように計算するか?について、税金計算上、一定のルールが定められています。

・何年間で経費にするか(法定耐用年数)
・経費にすべき金額をどのような方法で計算するか(定額法、定率法など)
にはルールがあるということです。

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税金計算で必要な処理方法=決算書を作るため(会計上)の処理方法

ではありませんが、実務上、税金計算で必要とされる処理方法で経理処理を行っているケースが多いのではないかと思います。

中古資産を買った場合の考え方

前述のとおり、税金計算上、固定資産を買った場合には、法定耐用年数として定められている期間で少しずつ経費にしていきます。

では、中古資産を買った場合にはどのように考えれば良いでしょうか。

「新品で買うよりは使用可能な期間が短い」と考えるのが自然ではないかと思います。

実際、中古で固定資産を買った場合には、法定耐用年数よりも短い年数で経費にしていくことが可能であり、次のように考えることになっています。

原則:使用できる期間として見積もった年数

中古資産の場合、法定耐用年数ではなく、使用できる期間を見積もって、その年数で経費にしていくことができます。

「できます」なので、もちろん法定耐用年数でも良いわけですが。

ただ、経費にできる金額が少なくなってしまうので、わざわざ長い期間を選択するケースは少ないとは思います。

中古資産は、資産によってその状況にバラツキが大きく
・比較的新しいもの
・古いもの
・ほとんど使用されていないもの
・かなり使用されてきたもの
など、その状況はバラバラですので、一律「〇〇年使える」とすることはあまり合理的ではありません。

ということで、中古資産の場合、使用できる期間を「見積もる」ことができるわけですが、

実際に何年使えるか?

を見積もることは結構難しいのではないでしょうか。

固定資産が多かったり、中古資産を使用してきたという実績が豊富であれば、
・この程度の期間を経過した資産
・この程度老朽化した資産
だったら、だいたい何年くらい使用できるか、データを持っていることがあるかもしれません。

そうであれば、見積り年数の根拠も説明できるはずです。

そうでない場合(こちらが大多数ではないかと)、実際に見積もることやその根拠を示すことはなかなか難しいのではないかと。

ということで実務上、「見積り以外の方法」として例外が認められています。

例外:簡便的な計算

使用できる期間の見積りが難しい場合、簡便的に年数を算定することが認められています。

資産を使用し始めてからどれくらいの期間を経過した資産であるかによって、次の2通りの計算で算定します。

(1)法定耐用年数の全部を経過した資産
「その法定耐用年数X20%」に相当する年数

(2)法定耐用年数の一部を経過した資産
(その法定耐用年数 ー 使用してから経過した年数) + 経過した年数の20%に相当する年数

*計算した端数に1年未満の端数があればその端数は切り捨て、2年未満の場合は2年。

例えば、次のように計算します。

*法定耐用年数が10年の資産を、資産が使用されてから11年目に中古で買った場合
=>上記(1)に該当。
=>10年X20%=2年」となり、耐用年数2年として計算することになります。

*法定耐用年数が10年の資産を、資産が使用されてから4年経過後に中古で買った場合
=>上記(2)に該当。
=>「(10年ー4年)+4年X20%=6.8年」となり、1年未満の端数を切り捨てて「6年」を耐用年数として計算することになります。

*法定耐用年数が3年の資産を、資産が使用されてから2年経過後に中古で買った場合
=>上記(2)に該当。
=>「(3年ー2年)+2年X20%)=1.4年」となり、2年未満のため、「2年」を耐用年数として計算することになります。

なお、耐用年数について、簡便的な見積り計算が認められていないケースがあります。

中古資産を購入して使用するために支出した金額がその資産を新品で買ったとした場合の金額の50%相当額を超える場合には、「法定耐用年数」で計算しなければなりません。

例えば、新品なら300万円くらいの機械を中古で買った場合に、修理や部品の交換などで160万円かかったとしたら、「法定耐用年数」で計算するということです。

使うために新品の50%超のお金がかかるなら、それは新品とみなす、と考えるのが分かりやすいです。

ちなみに、中古資産の耐用年数(使用できる期間)の見積りは、資産を使い始めた期に算定しなければならないことになっています。

翌期以後など、あとから修正することや新たに見積もることは認められませんので、注意が必要です。

4年落ちのベンツとは

このように「中古資産については使用できる期間を見積もることができる」ということから、「4年落ちのベンツ」という話が出てくることになります。

耐用年数は?

自動車の場合、法定耐用年数は6年とされています。

では、使い始めてから4年経過した(4年落ちの)車を買った場合、使える期間を何年と見積もることになるでしょうか。

簡便計算の(2)に該当するので

耐用年数=(6年ー4年)+4年X20%=2.8年=>2年

ということになります。

償却方法と計算方法は?

車両の償却方法として、定率法で計算することになっているとします。
(法人の法定償却方法または個人事業で定率法を届け出ている場合)

細かい計算は割愛するとして、
・減価償却の方法は定率法
・耐用年数が2年
という資産の場合、12ヶ月間で全額を経費にすることになっています。

つまり、新品でも中古でも耐用年数が2年で定率法で計算する資産については、12ヶ月で全額を経費とすることができるわけです。

ちなみに、固定資産を使い始めてからの経過年数に1年未満の端数がある場合、法定耐用年数も経過期間もそれぞれを月数で計算することになっています。

例えば、3年10ヶ月を経過した自動車(法定耐用年数6年)で考えてみます。

法定耐用年数、経過期間とも月数で計算しますので
・法定耐用年数:72ヶ月
・経過期間:46ヶ月
が計算の基礎です。

*耐用年数=(72ヶ月ー46ヶ月)+46ヶ月X20%=35.2ヶ月=>2年(1年未満は切捨)

となります。

ベンツというのは一つの例えに過ぎないとして、

「4年落ちの中古車」、正確には「3年10ヶ月落ちの中古車」なら耐用年数は2年となり、12ヶ月で経費にすることができる。

というのが、「4年落ちのベンツ」として語られていることになります。

4年落ちのベンツを500万円で期初に買った場合、全額の500万円をその期の経費にすることができるわけですので、「経費を増やして税金を減らす」という意味で、メリットがあるのでは?という話になるわけです。

あるとき、自動車販売会社の人と話しながら「3年10ヶ月」という期間を口にしたときに、

「あっ、それ系ですね!」

と言われたことがありました。

自動車屋さんも把握している、それを考えている人が世の中には多い、ということを認識しました。

経費にできるタイミングが早まるだけ!?

ちなみに、減価償却による節税というのは、正確には「節税」ではなく、「経費にできるタイミングを早めているだけ」です。

早かれ遅かれ経費にできることに変わりはありません。

新品の車両なら6年で経費に、中古の車両なら1年で経費に、ということです。

・会社で社用車を購入することは決めている。
・新車、中古車へのこだわりはない。
・購入費用は決めている。
・当期にできるだけ多くの経費を計上したい。
このような条件が揃っている場合には、どうせ買うなら新車ではなく中古車の購入を検討してみる価値はあるでしょう。

そうではなくて、なんとなく節税したい、というだけの理由で必要ではない車を買うことは得策ではありません。

このあたりのことも含めてしっかりと考えていくことが大切です。

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【編集後記】

また台風が近づいてきているようですね。
本当ならあまり外出したくないところですが、リスケすることが難しい用件のため終日外出です。
ひどくならないことを祈ります。

【昨日の1日1新】
*「1日1新」とは→詳細はこちら

じゃがりこ ねぎ塩だれ味

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