実効税率のおさらい〜税制改正大綱を確認するまえに

与党による平成28年度税制改正大綱が公表されました。法定実効税率が29.97%に引き下げられることがニュースで大きく取り上げられています。

法定実効税率とは

経理部門で仕事をしている人にとっては、法定実効税率はなじみのある概念ですが、それ以外の人にとっては少し分かりにくいものではないかと思います。

法人が獲得した利益に対して課される税金には、大きく分けて法人税、事業税、住民税があります(このなかには、利益に関係なく課されるものもありますが、無視します)。

法定実効税率とは、このそれぞれの税金の標準税率(一番ベースとなる税率)を使って、会社の利益に対してどれくらい税負担させるかを計算した「目安」になります。

法定実効税率が30%であれば、「利益が100出たら税金は30くらい」と計算することができます。

実際に税率が29.97%になるのか

今回のニュースを見て「当社がこの29.97%になるのはいつ?」という質問を受けましたが、実際にはこの税率をそのまま税金計算で使用することはありません。

そもそも、この実効税率というのは標準税率を基礎としていますが、例えば東京都に事務所がある場合には、事業税も住民税も標準税率よりも高い税率(超過税率)が課されているので、実効税率は30%を超えるはずです。

そう考えると、過去との比較において税率が下がることは間違いありませんし、30%を切るというスローガンを達成したという点では意味がありますが、29.97%という割合自体を直接的に使うケースはそれほど多くないと思われます(標準税率適用の場合の税効果くらい?)。

なにはともあれ法人税減税は効果大

法定実効税率がどうであれ、法人(比較的規模の大きなところのほうがメリットは大きいと思います)にとって、ここ数年の法人税減税はかなり大きなプラスとなっているのではないでしょうか。

そのあたりも踏まえつつ、何回かに分けて税制改正大綱を確認していきたいと考えています。

【編集後記】
株主総会が終わり社内にはほっとした空気が流れていますが、こちらは申告書の最終確認中でモヤモヤ。
もうあと一息です。

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