消費税の軽減税率Q&Aに項目が追加。具体的事例を追加するほど、さらなる質問が出てくるのでは?

昨日付(2019年8月1日)で消費税の軽減税率に関するQ&A集に、新たな質疑が追加されました。

具体的な事例を追加するほど、どんどん疑問が湧いてくるのでは?と思いつつ。

新たに追加されたQ&A

2019年10月から導入される消費税の軽減税率について、関係各所からパンフレットやQ&Aなどが公表されています。

国税庁からもQ&Aが出ていて、そのうち次の資料について、Q&Aが追加されました。

消費税の軽減税率制度に関するQ&A(個別事例編)

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/qa/03-01.pdf

軽減税率が導入されるにあたり、分かりにくい事項をまとめたもので

  • 「飲食料品の譲渡」の範囲等
  • 飲食料品の輸入取引
  • 外食の範囲
  • 「一体資産」の適用税率の判定
  • 「新聞の譲渡」の範囲等
  • 区分記載請求書等の記載方法等
  • 価格表示

の各項目について、全部で121問のQ&Aが掲載されています。

全部は書ききれませんので、該当するところはそれぞれご確認いただくとして、今回追加、改訂された項目の見出しだけ、書いておきます。

Ⅰ 「飲食料品の譲渡」の範囲等

問14(改訂) みりん、料理酒、調味料の販売
問22 炭酸ガスの販売(食品添加物の炭酸ガスの販売について)
問26 キャラクターを印刷したお菓子の缶箱等(缶箱入りお菓子の販売について)
問27(改訂) 桐の箱の容器(通常必要な容器として取り扱えるか。)
問28 割り箸を付帯した弁当、ストローを付帯した飲料等
問30 飲用後に回収される空びん
問41 製作物供給契約による飲食料品の譲渡等の取扱い
問42(改訂) 販売奨励金(飲食料品に係る販売奨励金の取扱い)
問43 自動販売機の手数料(販売数量に応じて受領する販売手数料の取扱い)
問44 物流センターの使用料(センターフィー)

Ⅲ 外食の範囲

問51(改訂) 屋台での飲食料品の提供
問54 従業員専用のバックヤードで飲食する場合
問60 セット商品のうち一部を店内飲食する場合(ドリンクだけ店内飲食)
問67 合意等の範囲
問68 遊園地の売店(園内のベンチでの飲食、食べ歩き)

Ⅳ 「一体資産」の適用税率の判定

問88 食品と非売品のおもちゃの一括譲渡
問89 販促品付きペットボトル飲料(非売品のおもちゃ付きの飲料の取扱い)
問90 特定の飲食料品を購入した際にレジで配付される販促品
問94 食品と食品以外の資産の仕入れに共通して要した付随費用
問95 一体資産に含まれる食品に係る部分の割合の売価による判定

Ⅴ 「新聞の譲渡」の範囲等

問100 ホテルに対して販売する新聞
問102 紙の新聞と電子版の新聞のセット販売

Ⅵ 区分記載請求書等の記載方法等

問117 年間契約の区分記載請求書

見出しだけを並べただけですが、結構ありますね。

すべてを完全に把握する必要はないと思いますので、自社に関係があるところ、自社に関係がありそうなところを中心に確認していただくのがよいかと。

具体と抽象の調整や俯瞰的にみるということ。それでは対応できないのが税務!?

今回追加されたQ&Aもかなり具体的なものになっています。
「個別事例編」ですから当然といえば当然なのですが。

で、これを見ていて感じるのは、このQ&Aを見たら、

では、このようなケースはどうなるの?

など、具体的なQ&Aが「さらに具体的な質問・疑問」を生むことになるのだろう、ということです。

具体的に語れば語るほど、
そこには当てはまらないが近似しているケース
というのが存在しますので。

ビジネスの「師」にあたるような方が
・あえて抽象度を上げて話をする
・俯瞰的に見る、語る
・具体と抽象をうまく調整する
ことが大切で効果的、と話をされていますし、一般的にはその通りだと思います。

ただ、「税務」となると、抽象度をあげてしまうと難しいことが多いです。

「この場合はどうなるの?」
がすぐに出てくるからです。

そのようなものを補うのが、税法の基本通達と呼ばれるものだったり、国税庁等が公表しているQ&Aだったりします。

実務のなかでさまざまな疑問が出てきて、そこに回答するのは分かりますが、
「あらたに決めたルール(税法)でスタート前から疑問だらけ・・・」
というのもどうなのでしょうかね。。。

改正税法のセミナーをする人、本を書く人など、一部の人は商売繁盛!?かもしれません。

が、一般的な感覚からすると「迷惑な話」ではないかと思いますが、どうなのでしょう。。

懸念されること

今後さらに懸念されるのは、処理を間違えてしまった場合の対応です。

これだけ分かりにくかったり、判断に迷いそうな事例が多い場合、少なからず消費税の適用誤りが発生すると思います。

もちろんワザとではないのに、です。

で、税務調査。
調査官からすると、「軽減税率周り」「消費税率アップ周り」は指摘事項の宝庫になる可能性があります。

運用開始〜初期はミスを指導に留めてくれるならよいですが、
「間違いは間違いですから」
で加算税を含めて納税が求められることも増えるでしょう。

・分かりにくい税制を作る
・一般の会社は処理が複雑になって大変
・その周辺で潤う人がいる(本、セミナー、レジ、ソフトなど)
・当局は調査での指摘事項を見つけやすくなる(かも)

という、こんな関係でいいの?とは思います。

軽減税率なんて、いっそのことなくなればいいのにと思っていますが、どうなのでしょうかね。

とりあえず出来ることは
「できるだけ情報を集めて間違えないように気をつける」
しかないのですが。

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【編集後記】

昨日は、東京ドームで巨人戦を観戦してきました(巨人2-広島8)。
前列に巨人ファンの上司と広島ファンの部下が2人で観戦に来ていましたが、巨人が劣勢になるや、2人の会話がまったく無くなっていきました!?
大丈夫かい?と思いつつ、後ろから見ている分には面白かったのですが。
試合終了を待たず、8回くらいで帰ってしまいましたが、広島ファンの部下は最後まで見たかったでしょうね。。。
 
【昨日の1日1新】
「1日1新」とは→詳細はこちら

とあるお店(水道橋)


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