法人税や法人消費税、源泉所得税などに関して、平成29事務年度(平成29年7月〜平成30年6月)に実施された税務調査の結果が国税庁から公表されました。
法人税の調査結果
少し前に所得税に関する税務調査の結果について書きました。
さらにその少し前には、法人税の申告に関する結果についても書いていました。
で、今回は法人税と法人の消費税の税務調査結果についてです。
国税庁ホームページに「平成29事務年度 法人税等の調査事績の概要」という資料が掲載されています。
https://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2018/hojin_chosa/pdf/hojin_chosa.pdf
まずは法人税の調査結果から。
*「平成29事務年度 法人税等の調査事績の概要」資料をスクリーンショット
実地調査を行ったのが9万8千件で、そのうち非違(誤りなど)があったのが7万3千件、不正計算が2万1千件だったようです。
調査件数はほぼ前年並みですね。
「非違(誤り)あり」の割合は74%でほぼ前年並み、「不正計算あり」の割合は21%でこちらもほぼ前年並みという結果でした。
調査1件当たりの追徴税額は前年よりも約11%増えて、約200万円という結果だったようです。
これは1件あたりの金額なので、もっと多額の追徴税額が課されている会社もたくさんあるでしょう。
税務調査で指摘・追徴されることをある程度想定していたのであればまだしも(それも大きな問題ですが)、想定外だったとするとそれなりの負担感がありますので、注意が必要です(資金繰りなどの観点からも)。
消費税の調査結果
続いて消費税です。
*「平成29事務年度 法人税等の調査事績の概要」資料をスクリーンショット
消費税は実地調査を行ったのが9万4千件で、そのうち非違(誤りなど)があったのが5万5千件、不正計算があったのが1万6千件だったようです。
「非違(誤り)あり」の割合が59%で前年より5ポイント上昇、「不正計算」の割合が17%で前年より微増という結果でした。
1件あたりの追徴税額は150万円くらいで、前年よりは40万円以上減ったことになります。
源泉所得税の調査結果
一応、源泉所得税等の調査結果も載せておきます。
源泉所得税の性質上(!?)、あまり大きな変化はないようですね。
主要な取組
また、資料のなかでは「主要な取組」というものが紹介されています。
1.消費税還付申告法人に対する取組
〜 不正に還付申告を行っていた法人から58億円を追徴 〜
=>前年は不正還付申告による追徴が128億円くらいでしたので、半減。
2.無申告法人に対する取組
〜 無申告法人から109億円を追徴 〜
=>前年は無申告法人からの追徴が114億円でしたので、微減。
3−1.海外取引法人等に対する取組(法人税)
〜 海外取引等に係る調査で3,670億円の申告漏れ(所得)を把握 〜
=>前年は2,366億円でしたので、1.5倍強の増加。
3−2.海外取引法人等に対する取組(源泉所得税)
〜 海外取引等に係る源泉所得税等で78億円を追徴 〜
=>前年は43億円でしたので、1.8倍以上に増加。
金額をみると大きすぎるので、いまいちピンとこなかったりもします。
ただし、1.2.については、「不正」が対象なので、確信犯で「不正」を働いている人が一定数以上いる、ということは間違いないのでしょうね。
「会社側が正しいと考えていた税務上の判断が認められなかった」
というケースであれば、それは見解の相違(会社側と税務署側)と言うことができます。
一方、上記のように「不正」とみなされたということは、「見解の相違」ではなく、「悪質」「不正」と考えられているわけですから、やはり性質は良くないと言えるでしょう。
税務上の判断で迷う場合、「見解の相違」の範疇なのか「不正」の範疇なのか、しっかりと見極めて判断をしていく必要があります。
そのためにも日頃から、「そのような観点で常に判断する」という基準を自分のなかに持ち続けておくと良いのではないかと考えています。
【編集後記】
痛風による足首の痛みがようやく落ち着いてきましたが、まだゴルフスイングができるほどまでには回復していません。
なんとか今週末のラウンドには間に合わせたいのですが、どうなることやら。。。
【昨日の1日1新】
*「1日1新」とは→詳細はこちら
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