会社が輸入取引を行っている場合、税関による税務調査「輸入事後調査」を受ける可能性があります。
税務調査といっても通常の税務調査とは少し異なっています。
輸入事後調査とは
輸入事後調査とは、輸入取引に関する税関による税務調査のことです。
外国から商品などを輸入する場合、輸入する人は「関税」や「輸入消費税」を申告・納付しなければなりません。
この申告・納付が正しくされているかどうかを確認するのが「輸入事後調査」です。
間違えやすいケース
通常、輸入手続きは通関業者に任せているケースが多いと思います。
・この通関業者が取引の実態を把握していない。
あるいは
・この通関業者に正確な情報を伝えていない。
というのが、申告誤りの原因となります。
詳細は割愛しますが、輸入時には輸入する商品の仕入価格(CIF価格)を申告することで「関税・消費税」が計算されることになります。
この申告の際に、本来の価格(CIF価格)とは違う価格で申告をしてしまうと、納付する税金を間違えてしまいます。
例えば、海外の仕入先が金額を間違えた書類を作成してきてそれをそのまま通関業者に渡してしまうと、通関業者はその金額がおかしなことに気づかずに申告を間違えてしまう可能性があるわけです。
わざと申告しなかったり、少ない金額で申告することは論外です。
ただ、事務手続き上、うっかりと間違えてしまうという可能性は結構あるのではないかと思っています。
また、商品が輸入される場合に申告が漏れることは考えにくいですが、
「商品が入ってこないのに申告が必要」
という取引では、申告が漏れやすくなりますので注意が必要です。
財務省ホームページには、主な申告漏れ等の事例も掲載されていますので、ご興味がある方は眺めてみていただければ。
https://www.mof.go.jp/customs_tariff/trade/collection/ka20191106b1.htm
通常の税務調査との違い
この事後調査ですが、通常の税務調査とは異なる部分があります。
そもそも、「税関による」税務調査となっている段階で違いますね。
通常の税務調査は税務署または国税局による調査ですので。
また、関税については税理士が代理業務をできないというのも大きな違いです。
税理士法で、税理士の業務の中から関税は除かれていますので。。。
つまり、会社の代理として税関と交渉することはできないということになります。
(正式に立ち会い・交渉ができるのは、通関士か弁護士に限られているようですね。)
*税関ホームページの「輸入事後調査手続に関するQ&A」のスクリーンショット
実務上、円滑な調査のために税理士が対応するケースもあると思いますが、あくまでも例外的な対応ということは理解しておく必要がありそうです。
ちなみにオマケですが、印紙税もこの関税と同じように税理士による代理業務が認められないものとされています。
輸出を行っている場合も
この税関による事後調査ですが、輸入だけでなく輸出取引についても行われますので、念のため。
税関のサイトでは、輸出者に対する事後調査の目的は、次のように書かれています。
輸出された貨物にかかる手続きが関税法等関係諸法令の規定に従って、正しく行われているか否かを確認し、不適正な申告を行った者に対しては適切な申告を行うよう指導を行い、さらに、企業における適正な輸出管理体制・通関処理体制の構築を促すことで、適正かつ迅速な輸出通関の実現を目的としています。
輸入時と違って直接的に税額に影響があるわけではないので、「税額等の是正」が目的ではなく、「正しい手続きが取られているかの調査」が目的とされています。
おわりに
特に問題がないと分かっていても、「調査」はあまり良い気がするものではありません。
それでも来るものは来るわけですから、日頃から
・間違えやすいポイントはどこか。
・きちんと対応ができているか。
を意識しながらしっかりと確認しておくことが必要になります。
もし不安があるようであれば、事前に専門家に相談して問題点を潰しておくのが良いのではないでしょうか。
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【編集後記】
自宅用ダンベルセットを物色しています。
買うならベンチも一緒にと思いつつ、明らかにジャマになるので少し悩んでいます。
【昨日の1日1新】
*「1日1新」とは→詳細はこちら
BCAA
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