法人税の申告書を作成することは税理士の仕事の1つではありますが、作成するたびに「誰でも簡単に申告できるようになればいいのに」と感じています。
複雑になる理由は会計と税務が一致していないこと
法人税の申告を簡単にするなら、会計データ(決算書)で法人税の申告・納付をしてしまうのがベストです。
でも、実際にはそうなっていません。
会計と税務とでは基本となる考え方や目的が違うから、などとよく言われています。
例えば
・会計は会社の業績や経営状態を正しく表すことが目的
・税務は公平な課税を目的
といったイメージです。
会計は経営状態を正しく表すことを目的としているため、経営状態が良さそうに見える偽り(利益の水増しなど)には厳しいです。
一方の税務は、納税者が正しく公平に納税することを目的としているため、利益が減る側(結果として税金が減る側)には厳しいです。
このように考え方が全く異なるにも関わらず、会計上の利益から税金計算をスタートしているため、調整が複雑になってしまうのでしょう。
税務と会計では用語も一致していない
ちなみに会計と税務で、ほぼ同じことを指しているのに、使う用語が異なるものがあります。
例えば、次のようなものです。
・収益(会計)<=>益金(税務)
・費用(会計)<=>損金(税務)
・未払法人税等(会計)<=>納税充当金(税務)
・繰越利益剰余金(会計)<=>繰越損益金(税務)
より簡単にするなら、できる限り一般的な表現(おそらく会計側)に統一してもらったほうが分かりやすいですね。
税理士は作業ではなく判断する仕事に
普段の会計処理が限りなく税務基準に近い会社の場合、税務申告での調整項目もそれほど多くないかもしれません。
逆にそれなりの規模の会社になってきて、会計上、より正しい処理を行おうとすればするほど、税務申告での調整も必要になってきてしまいます。
「良かれと思ってやることで手間が増える」というのも、なんだかな〜という感じです。
もしかすると税理士という職業を守るためには、複雑な申告制度を維持しておかなければいけないのかもしれません!?
もしも税務申告が簡単に決算書プラスアルファくらいで済ませられるようになったら、申告業務という作業系をメインとしている税理士は仕事がなくなってしまうでしょうし。
それでもAIに取って代わられるような作業系の業務は早めに手放して、より高度な判断が必要となるような本来の業務に集中していくため、税理士にとっても会計と税務が一致している方が良いのでしょうね。
【編集後記】
昨日始まったテレビドラマ「陸王」は、私の出身地:埼玉県行田市にある、足袋製造会社が舞台のようです。
原作を読んでいないので、これからどんな展開になるのか楽しみです。
【昨日の1日1新】
*「1日1新」とは→詳細はこちら
伊藤ハムのサラダチキンハーブ
まぐろ市場 まぐろ市場丼
最寄駅にある日高屋で1人飲み
ぎょうざいってん神田本店