利益とお金と税金の関係〜しっかり節税してきっちり納税する〜

利益とお金と税金。
それぞれつながっていますが、そのつながりを正しく理解しておかないと「こんなはずじゃなかった」ということにもなりかねません。

まずは最低限おさえておくべき基本的な考え方を整理したいと思います。

1 利益とお金の関係
2 利益と税金の関係
3 利益とお金と税金の関係
4 おわりに

利益とお金の関係

会社が継続して発展していくためには、利益を出すことが必要です。

本来、利益が出ればそれに合わせてお金も増えていくはずです。

利益が増える＝＞お金が増える＝＞お金を有効に使ってさらに利益が増える
というサイクルを繰り返すことでますます会社を発展させていくことができます。

ただし、「利益とお金」を考えるときに注意が必要なのは

利益が出たとしても、すぐにはお金が増えないケースもある

ということです。

たとえば
・売上があがって利益が出ているが、売上代金が回収できていない。
・売上が好調のため在庫を買い増した結果、手元のお金が減っている。
・事業活動に必要な設備（固定資産）を購入した結果、手元のお金が減っている。
などというのが、分かりやすくて代表的なケースです。

これらのケース以外でも「業績が好調、利益も出ているのになぜかお金に余裕がない」という場合には、見直すべきところはいろいろあります。

まずは、「どこに問題があるか」「改善できるポイントがないか」を確認してみるところから始めてみるのが良いのではないでしょうか。

利益と税金の関係

会社の税金として代表的なものは法人税ですが、これは利益を基準にして計算する税金です。

したがって
・利益が増えれば、基本的に税金は増える。
・利益が減れば、基本的に税金は減る。
ということになります。

ただし、利益の増減と税金の増減がリンクしないものがあります。

たとえば交際費です。
会社の規模などによって取扱いに違いはありますが、全額が無条件で税金計算上の費用（損金）として認められるわけではありません。

また、役員報酬も損金として認められるためにはいろいろな制限があります。

交際費や役員報酬などのように、費用を増やすことで利益が減ったとしても税金が減らないものもありますので注意が必要です。

利益とお金と税金の関係

利益が増えると基本的には税金が増えるため、なんとか税金を減らしたいと考えるのが当然でしょう。

その場合に、税金を減らすためには利益を減らすことが必要と考えて「節税」を検討することが多いと思います。

注意が必要なのは、利益を減らして税金を少なくするためにお金を使ってしまうと、税金を少なくすることができても、それ以上に手元からお金がなくなってしまう危険性があるということです。

たとえば単純化したケースで見てみます。

（ケース１）
利益（＝現金）100万円／税率30%の場合・・・追加の節税対策なし
（１）現金：100万円
（２）税金支払い：30万円（100万円x30%）
（３）手元に残るお金：（１）ー（２）＝70万円

（ケース２）
利益（＝現金）100万円／税率30%の場合・・・追加で節税のために30万円分の備品購入
（１）現金：100万円
（２）節税のための備品購入：30万円
（３）節税対策後の利益（現金）：（１）ー（２）＝70万円
（４）税金支払い：21万円（70万円x30%）
（５）手元に残るお金：（３）ー（４）＝49万円

（ケース２）では節税のために30万円分の備品を購入したことにより、税金は9万円減らすことができました（30万円→21万円）。

ただし、備品購入のためにお金を使ってしまっているため、最後に手元に残ったお金は21万円減ってしまっています（70万円→49万円）。

つまり「9万円の税金を減らすために30万円使った結果、手元に残るお金が21万円減った」というのが、今回の節税対策による結果ということになります。

購入した備品が必要なものであれば効果はあるかもしれませんが、節税のためだけに購入したのであれば手元に残るお金が減っただけという残念な結果になっていることを認識しておく必要があります。