社長が社員を信頼することは大切ですが、経理担当者の言うことを鵜呑みにしてはいけません。
経理担当者の言うことを鵜呑みにしていませんか?
経営者の方とお話ししていると、
・経理のことは〇〇さん(ベテラン経理担当)に任せているから。
・経理のことはあまりよく分からないから〇〇さんに聞いてみて。
・〇〇さんがいなくなったら業務がまわらなくなって大変だな。
なんてことをお聞きすることがあります。
それくらい「信頼する/信頼される」関係性というのは素晴らしいものだと思います。
そこに至るまでにはそれなりに時間もかかったはずですので。
ただし、いくら信頼関係が構築できているとしても、注意すべきことがあります。
それは「経理担当者の言うことを鵜呑みにしてはいけない」ということです。
・信頼はしても丸投げはダメ
・信頼はしても判断まで委ねてしまってはダメ
・信頼はしても100%信じきってしまってはダメ
ということを常に意識しておく必要とあると考えています。
ちなみに個人企業や同族会社などで、社長の身内(奥さん、お子さん)が経理担当として仕事をしている場合には当てはまりませんので、念のため。
経営者と経理担当者。利害が一致しないことがあると認識を!
・そんなことを言っても、うちの〇〇さんはよくやってくれているから心配ないよ。
・うちの〇〇さんがそんな変な判断をするわけないじゃん。
・経験も豊富、社歴も長いし、任せておけば大丈夫。
などとお考えの方もいるでしょう。
このようなときに、大前提として認識しておかなければいけないのは
経営者と経理担当者とでは利害が一致しないケースも多い
ということです。
「会社のために働いているんだから、そんなはずはない」と考えたいところだと思います。
ただ実際には、そうではないケースがあるということはおさえておく必要があります。
ほんの一例ですが、鵜呑みにしてはいけないコメントのサンプルをいくつか挙げてみます。
この仕事は大変なのですごく手間がかかる
経理担当者がすごく時間をかけて行っている業務があるとします。
決算でも支払い業務でも、どんなことでも。
そんなとき、なんでそんなに時間がかかるの?と聞くと、「この仕事は手間がかかるんです」という回答が返ってくるかもしれません。
本当にそうかもしれませんが、業務を効率化すれば、とっとと片付けることができるものかもしれません。
・忙しいフリをしていたい
・サクッと片付けると自分がやる仕事が減ってしまう
・どのように効率化したらいいか分からない
など、いろいろな事情はあるのでしょう。
ただ、経営者の方がまったく考えてもいない理由で「手間がかかっている(ように見える)」というケースは結構多いのではないかと思います。
仕事量が多いから残業が多くなるのは仕方ない
上記とも関連しますが、月末月初、決算時など、経理部門は忙しい時期が決まっています。
「仕事量が多いので残業が発生するのは仕方ない」と経理担当者は主張し、経営者もそんなもんかなと納得しているケースは多いでしょう。
ただし、
・担当者が本当に効率的に業務を行ったもののそれでも残業が減らない。
のか
・残業が減らなくても仕方ない
と考えて工夫すらしていないのか、は大違いです。
残業代がもらえるとか、忙しいフリができるとか、奇特なことを考える人もいますので。
現在の会計ソフトが自社にとって最適
経理担当者がそのソフトに慣れているというだけで「最適」と言っている可能性があります。
本当は他の会計ソフトのほうが自社にとってはメリットがあるのに
・他のソフトのことを知らない。
・他のソフトを調べたり、研究することが面倒くさい。
・ソフトが変わったら、自分自身がその作業で大変になる。
など、「会社のため」ではなく「自分のため」に「最適」を選択している可能性もあります。
いままでの経理のやり方がベスト
以前からのやり方を踏襲したまま、このやり方がベストと考えて、仕事に関して自分なりの創意工夫を放棄してしまっているようなことも考えられます。
・自社のことしか知らない。
・他社がどのようなやり方をしているのか研究することが面倒くさい。
など、自社のことしか知らないため、視野が狭くなっている可能性があります。
他社のことを知ろうとする意識がなければ、視野がどんどん狭くなっていくのも無理はありません。
社長が必要とするような数字の集計はできない
・このような数字を集計してほしい。
・このような資料を出してほしい。
という依頼をしたときに、「そのような集計はできません」なんて言われてガッカリという経験もあるのではないでしょうか。
・本当にできないのか?
・担当者ができないだけなのか?
・担当者が面倒なだけなのか?
裏どりを含めて、しっかりと確認する必要があります。
毎日のように銀行窓口に行かなければいけない
勤務中にちょこちょこ抜け出しては、銀行に行っているというケースがあります。
もちろん経理業務の仕組み上、やむを得ないケースもあるでしょう。
ただし、本当に定期的に銀行窓口に行かなければいけないのか?は考える必要があります。
自分が外出したいだけ、気分転換したいだけ、という可能性もありますので。
しっかりと検討した結果、マンパワー、業務分担、経理業務フローの見直しなどにより、現金を扱う回数を減らすことで銀行窓口に行く回数を減らすことができるかもしれません。
新人の〇〇さんにこの仕事を任せるのはまだ無理
新入社員が入ったり、異動などにより業務分担が変わる場合に、ベテラン社員から
新人の〇〇さんにこの仕事を任せるのはまだ無理
というコメントが出てくる可能性があります。
ただ、本当に無理なのか?はしっかりと見極める必要があります。
自分の専門性や仕事に慣れているということの地位(?)をあげるために、このような発言をしている可能性もあります。
「ベテラン」風で偉そうにできるはずが、新人さんでも出来てしまったら、自分の価値はどこに??なんて感じてしまうのかもしれませんね。
「信頼すること」と「発言を鵜呑みにすること」とは違う
これらはほんの一例ですが、このように見てくると、
経理担当者(社員)の言うことを鵜呑みにする
ということが危険であるということが分かります。
また、鵜呑みにする、丸投げするということは、結果的に不正へのリスクも高まることになります。
そうは言っても、経理に関する専門的なところや細かいところまではなかなか理解しにくいということもあるかもしれません。
それでも、「発言を鵜呑みにする」「任せっぱなしにする」のではなく、
ある程度までは自分で判断できる状態にしておく。
というところを、まずは第一段階として設定してみると良いのではないかと思っています。
そのために外部の専門家などをうまく利用するというのもアリですね。
【編集後記】
昨日は初めて訪問するお店で、今までに飲んだことがない日本酒をいろいろといただきました。
相変わらず、ラベルの写真を撮り忘れてしまって銘柄が思い出せない、という失敗を繰り返してしまっていますが、まあそれはそれで楽しいのでいいかなと。
【昨日の1日1新】
*「1日1新」とは→詳細はこちら
秀玉
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