法人税の申告で「申告書確認表」と「大規模法人における税務上の要注意項目確認表」というものを使用してみました。
自主点検・自主監査用の確認表
この「申告書確認表」と「大規模法人における税務上の要注意項目確認表」というのは、平成27年3月に国税庁から公表されたもので、調査課所管法人を対象にしているものです。
調査課所管法人とは、原則として資本金が1億円以上の法人になります(管轄が税務署ではなく国税局)。
国税庁のパンフレットには次のようなコメントがありました。
申告書の提出前に、申告書の自主点検や税務上の観点からの自主監査で使用してほしい、というのが意図のようです。
ちなみにこの確認表を使用するかどうかは任意であり、申告書と一緒に提出する必要もない、とのことなので、独自にチェックリストなどを準備している会社では使用していないケースが多いかもしれません。
確認表の内容
申告書確認表
こちらには法人税申告書と消費税申告書について、合計93項目の確認事項が用意されています。
文字通り、申告書が適正に作成されているかを確認するためのものであり、法人税については、共通項目から別表17までと勘定科目内訳明細に関する留意事項が記載されています。
例えば次のような内容です。
- 共通事項:法人税関係特別措置の適用を受ける場合、適用額明細書を添付していますか。
- 別表4:別表4の1③欄の配当の額は、株主資本等変動計算書記載の剰余金の配当の額と一致していますか。
申告に慣れている人にとっては当たり前の項目ですが、不慣れな人がうっかりミスを防止するため、あるいは念のための確認しておこう、という用途には使えそうかなという印象です。
大規模法人における税務上の要注意項目確認表
こちらには法人税と消費税合わせて、全部で57項目の確認事項が用意されています。
例えば次のような内容です。
- 売上げ:売上げの計上基準に照らし、当事業年度に計上すべきであるにもかかわらず、翌事業年度に計上されている売上げはありませんか。
- 交際費等:福利厚生費等の中に役員や従業員の接待等のための支出が含まれていませんか。
こちらは申告書の記載方法ではなく、もともとの法人税、消費税関係の処理が正しく行われているかどうかを確認することが主目的の書類になっています。
この確認表には、確認内容とその解説、参考法令等が記載されているので、税法上の取り扱いについて不安がある場合には有効かもしれません。
逆に、日頃から税務関連の業務に従事している人にとってあまり目新しい項目はありません。これらの確認内容、規定は理解したうえで、処理の誤りがないか、判断が正しいかどうか、の確認がポイントなので、チェックリストとしてはいまいち機能しない気もします。
まとめ
とりあえず使用してみた感想としては、「申告書確認表」は最低限のチェックリストとしては使用できそうです。
「要注意項目確認表」は少し不安な項目の内容を確認する程度なら使用できそう、といったところでしょうか。
2度目以降に使用してみたら、これらの印象も変わるかもしれません。
なおこれらの確認表は大規模法人向けとはなっていますが、それ以外の法人でも使える部分は多いと思います。
確認表は国税庁ホームページからダウンロードすることができますので、一度内容を確認してみてはいかがでしょうか。
自社のチェックリストに足りない項目を取りこんでみてもいいかもしれません。
【編集後記】
2月の青梅マラソンに一緒に参加する方から、正月休みにどれくらい走ったかを聞かれました。
1kmも走っていないとは言いにくい雰囲気でした。
少しだけ頑張ってみるつもりです。