在庫を持つ商売をする場合、在庫数量と在庫金額を正しく把握することは経営にとって欠かすことができません。
そして、在庫数量を正しく管理するためには、定期的に棚卸しを行うことが有効です。
在庫と利益の関係
会社が在庫商売を行っている場合、在庫金額を正しく把握することなく、正しい利益を算定することはできません。
物を販売した場合の直接的な利益は、売上総利益(粗利)と呼ばれます。
売上総利益の算定式は、
売上総利益=売上 − 売上原価
となります。
では、売上原価はどのように算定するかといえば、
売上原価=前期末(前月末)在庫 + 当期(当月)仕入高 ー 当期(当月)末在庫
で算定します。
もともとあった在庫に新しく仕入れた在庫を加えると、販売できるすべての在庫になります。
そして、販売できるすべての在庫から残っている在庫を差し引くと、販売した在庫(=売上原価)を把握することができる、ということになります。
定期的に(実地)棚卸しを行う意味
棚卸しとは、実際に在庫を数えることです。
実際に数を数えるわけですから、正確に在庫数量を把握することができます。
棚卸しを行うには時間や作業工数がかかるという問題点はありますが、正確な在庫数量により、正しく利益を計算することができるというのが大きなメリットとなります。
なお、棚卸しをしない場合には、帳簿上(書類上)だけで在庫数量の増減を管理することになります。
実際には数えないわけですから、入出庫記録に間違いがあっても、その間違いにはなかなが気づかないことになります。
早めに間違いに気づいて補正するためにも、やはり定期的(3ヶ月毎など)に棚卸しを行うことが有効になります。
在庫を正しく把握することで得られるメリット
月次決算に取り組んでいる会社の場合、とりあえず毎月の損益を計算するためには、何かしらの在庫データを毎月固めているはずです。
一方で、月次決算は行わず、たとえば年1回の本決算時にしか在庫を確定させない場合には、次のようなデメリットがあります。
・本決算で棚卸しを行うまで、予想と比べ利益が多かったのか少なかったのかが分からない。
・必要以上に在庫を大量に買い込んでしまっている可能性がある。
・余分な在庫の有無が年に1回(本決算時)にしか分からない。
もし年に2回(中間決算と本決算)でも、棚卸しにより在庫を確定させることができれば、早めに当期の業績見通しを把握し、必要な手を打つことができます。
また、棚卸しにより、思った以上に利益が出そうなことが分かった場合、早めのタイミングであれば、余計な在庫を廃棄して、その分は税務上の経費としても認められることになります。
(年1回でギリギリのタイミングだと、間に合わない可能性があります。)
すでに月次決算に取り組んでいる会社にとっては当たり前の内容ですが、まだ取り組んでいない会社にとっては、年に数回の棚卸しや在庫データを毎月固めなければならないということは少しハードルが高いかもしれません。
しかし、少なからずメリットはあるはずなので、一気にやり方を変えることはできなくても、少しずつでも出来るところから始めてみればよいのではないでしょうか。
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【編集後記】
ある友人が今年から税理士試験に挑戦するということが分かりました。
仲間が増えるというのは嬉しいものですね。
【昨日の1日1新】
*「1日1新」とは→詳細はこちら
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