労働生産性を表す指標として、「(従業員)1人当たり粗利益」が使われることが多いです。
この「1人当たり粗利益」というのはどれくらいを目安にすれば良いか、簡単に確認してみます。
比較・分析に便利な「1人当たり」
「1人当たり粗利益」の前に、まずは「1人当たり」を計算することについて。
経営していくなかでは様々な会計上の数値を取り扱うことになります。
損益計算書の項目だけでも
・売上高
・粗利益(売上総利益)
・営業利益
などなど。
そして、その数値の比較・分析をしやすくするためには「1人当たり」の数値に換算してみると分かりやすくなるものが多いです
・1人当たり売上高
・1人当たり粗利益(売上総利益)
・1人当たり営業利益
・1人当たり人件費
といったようなもので、売上高、粗利益などの金額を従業員数で割って計算するものです。
例えば、売上金額の大きさだけで比較する場合、会社の規模は分かりますが、その会社が良い会社なのかどうかは分かりません。
1.売上高 10億円
2.売上高 5億円
では、どちらが良いか(ざっくりと)と考えると、「1.」の10億円と考える人が多いでしょう。
では、
1.売上高 10億円(従業員100人で1人当たりの売上高は1,000万円)
2.売上高 5億円(従業員10人で1人当たりの売上高は5,000万円)
という比較ではどうでしょうか。
「2.」のほうが良いと考える人も多いでしょう(とにかく売上金額が大きい「1.」が良いという考えもアリでしょうが・・・)。
このように、絶対的な金額だけでなく、「1人当たり」で考えることで、違った面が見えてくることになるわけです。
比較・分析する場合には、このような「1人当たり」とか「〇〇当たり」のような指標を使ってみることを習慣にしておくと良いのではないでしょうか。
1人当たりの粗利益はどれくらいを目指す?
では、1人当たりの粗利益としては、どれくらいを目指すのが良いでしょうか。
これはいろいろなところで、いろいろな目安金額が書かれています。
会社の規模、業種によっても異なりますが、一般的に多く言われているのは次のような金額です。
【1人当たりの粗利益】
*最低ラインの目標:1,000万円
*できればの目標:1,500万円以上
*上場企業など高収益企業:2,000万円以上
もちろん前述のように業種によっても異なりますので、一応の目安という程度でも良いかもしれません。
ざっくり日本の平均は600万円程度などと言われていますので、一度、自社の数値で計算してみると良いと思います。
で、このときに大切なことは
・まずは現状を正しく把握すること
・今後の目標を設定すること
・目標に向けて、今よりも改善できる方法を検討して実行すること
です。
目安となる金額に届いていても届いていなくても、単に今までの結果がそこに表れているだけ、ですので、大切なのは確認した後のことだと考えています。
ちなみに前職、前々職の直近の数値を確認してみたら次のような結果でした。
1.前々職(製造業)
*売上総利益:133,262百万円
*従業員数:6,401人
*1人当たり粗利額:20.8百万円
2.前職(卸売業)
*売上総利益:8,530百万円
*従業員数:193人
*1人当たり粗利額:44.1百万円
連結ではなく単体の数値のため、グループとしての実績というわけではありませんし、業種が違うので一概には言えません。
ただし、まあなんとなく雰囲気は分かりますし、いろいろと感じるところもあって面白いものだなと。
もっとも、規模も業種も異なる2社の比較してもあまり意味がなく、あくまでもその会社自体の前年、前々年との比較のほうが参考にはなるのですが。
参考となる資料の確認方法
前述の数値(前々職、前職)は、直近の有価証券報告書の数値から算定しました。
有価証券報告書には、財務数値だけでなく従業員数などの情報も記載されているので、必要な情報をとることが可能です。
同業他社、目標としたい会社が上場企業であれば、その会社のホームページから有価証券報告書のデータを確認して、自社と比較してみると良いです。
規模が違いすぎると参考にならない可能性もありますが、目標としたい会社であれば確認しておいても無駄にはならないかと。
あとはお遊びとして、気になる会社(トヨタ自動車とかソニーとか??)の数値を見てみても面白いかもしれませんね。
上場企業でない場合には、リアルな個社の財務データは手に入りません(調査会社から取り寄せる場合を除き)。
その場合には、中小企業庁などのデータ、各種統計データなどを参考にしたり、あるいは顧問税理士などに、データを持っていないかを確認してみるのが手っ取り早いかもしれません。
会社としてどんな指標を重視するか?は経営者の方が自由に決めればよいと思います。
ただ、単に売上だけ、利益だけ、で考えていると、見えてこない部分があるのではないかなと。
「1人当たり」とか、それ以外でも考え方次第で、有効に使える指標があるはずです。
経理担当者や顧問税理士などとも相談しながら、使える指標、目標とする指標を検討してみるのも良いのではないでしょうか。
【編集後記】
ここ最近、Macbook Proのキーボードの調子が悪く、かなりストレスが溜まっています。
Genius Barもすぐには予約できないので、さてどうしたものか。
とりあえず予備の1台を投入して様子を見るしかなさそうです。
【昨日の1日1新】
*「1日1新」とは→詳細はこちら
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