接待ゴルフのあとの食事は「ゴルフ？」それとも「飲食？」〜法人税の考え方は？〜

伝票や仕訳を確認していて間違いが多い項目の１つに、接待交際費に関するものが挙げられます。

経理・税務担当ではない方の中には、「交際費の処理は分かりにくくて面倒」といった印象を持たれている方も多いのではないでしょうか。

交際費に関する法人税の取り扱い

交際費は法人税の計算上、原則として、税務上の費用としては認められていません。

分かりやすく言えば、交際費を使ったことで会社の利益が0円（または赤字）になったとしても、「交際費×法人税率（30%程度）」の金額を税金として払わなければならないことになります。

交際費の取り扱いには、中小法人に対する優遇措置（一定額まで経費として認められる）などがありますが、今回は除外して考えます。

で、接待交際費のなかで、分かりにくいものの１つが飲食費関係です。

現在、飲食費（社内のみでの飲食を除く）については、次のような取り扱いになっています。

・1人あたり5,000円以下の場合：飲食費の全額が税務上の費用となる
・1人あたり5,000円超の場合：飲食費の50%が税務上の費用となる
＊適用を受けるためにはいろいろな要件が定められているので注意が必要です。

このように、接待行為の内容（飲食か飲食以外か、金額はどれくらいか）によって納付税額が変わってくるわけですから、処理の間違いには気を付けなければなりません。

飲食費に該当しない飲食とはなにか？

ただでさえ分かりにくい飲食費で、さらにややこしいのがゴルフ関連の飲食です。

国税庁ホームページの「Ｑ＆Ａ」では、「ゴルフに際しての飲食はゴルフと一体とみなして、飲食費に該当しない。」と書かれています。

ゴルフをやった時の飲食は、税務上の飲食費には該当しない、つまり「税務上の費用にはならない。」ということです。

「飲食なのに飲食費に該当しない。」という時点で少し分かりにくくなってきます。

ゴルフの際の飲食といえば、だいたい「ラウンド中の昼食」か「ラウンド後の食事（クラブハウスまたはゴルフ場以外の場所）」です。

「ラウンド中の昼食」がゴルフと一体、というのは分かります。

ラウンド後にクラブハウスで懇親会を行った場合にそれがゴルフと一体、というのも分かります。
ではラウンド後、ゴルフ場からの帰り道に駅前の居酒屋で懇親会を行った場合にはどうなるのか、判断は難しいのではないでしょうか。

「ゴルフと一体」と考えると、飲食費としての取り扱いはできないことになります。

一方で、国税庁ホームページの「Ｑ＆Ａ」では、接待行為の終了後に一部の取引先と飲食をした場合は、接待行為と飲食は別物（すなわち飲食費として認められる）というようなニュアンスで書かれています。

そうなると、
・どの時点で接待行為が終了しているのか。
・相手が取引先の一部であればいいのか。
・逆に相手が取引先の全員だったらダメなのか。
など、判断基準が分からなくなります。

結局は、調査する人の見方、判断次第ということになるのでしょうか。

ある講演では、

「事前の案内文などで別の場所で懇親会をやることが決まっている場合には、ゴルフと一体とみなされる。」

との話しがありました。

コンペのような場合には案内文も用意すると思いますが、そうではないケースも多いと思います。

結局どうするのがよいか？

その飲食が「ゴルフとは明らかに別」だと自信をもって言い切れるのであれば（第三者に説明できるのであれば）、飲食費とするべきですし、「ゴルフと一体」であるならばゴルフの費用とするべきです。

実際には、それが伝票（参加者、場所、金額など）にも現れてくるような気もします。

ただ、経理担当者などが内容を聞きながら確認するというのも現実的には厳しいところです。

処理件数が多い場合には、社内での事務作業の効率化も考えて、簡便的なルールを設けつつ、判断が難しい案件については詳細を確認する、という割り切りが必要なのかもしれません。

簡便的ルールの例としては、次のようなものが考えられるでしょうか。。
・全員が懇親会に参加していればゴルフと一体
・懇親会に参加したのが半分以下の人数であれば一体ではない
など？（これ、あくまで目安の例です）

良いか悪いかは別として、「ゴルフの日の飲食はすべてゴルフと一体とみなす」や「クラブハウス以外での飲食はすべて飲食費でＯＫ」など、何らかの基準を設けたほうが実務上は助かりますね。

いずれにしても当局が基準を明確にしてくれたほうが納税者の予測可能性は間違いなく高まると思うのですが、どうにかならないものでしょうか。。。

【編集後記】
ようやくマイナンバーの通知カードが届きました。届いてみるとペラペラの紙１枚に１２桁の個人番号。これだけの情報を届けるだけなのに大騒ぎで、なんだか振り回されてるな〜と感じてしまいます。もちろん大切な個人番号を管理する側の仕事はきっちりとやらないといけません。