固定資産を買ったら何年間で経費にすることができる?

固定資産を買った場合には、何年間で経費にすることができるでしょうか。

考え方を簡単に確認してみます。

固定資産を少しずつ経費にするのが減価償却

大前提として、固定資産を買った場合、買ったときに全額を経費とすることはできません。
(中小企業者向けの特例:30万円基準などを除いて。)

そもそも固定資産とは、1年以上使うことができるものなので、

・買ったときに全額を経費にしてしまうのはおかしい。
・使う(使える)期間にわたって経費にしていくべき。

と考えることになります。

例えば、

今年は利益がたくさん出そうだから300万円の車を買おう!

なんて思っても、その年に300万円を経費にできるわけではないのです。

車が1年しか使えないなんてことはないからです。

ですので、数年にわたって少しずつ経費にしていくことになります。

このように、固定資産を使える期間にわたって少しずつ経費にしていくというのが「減価償却」というものになります。

例えば、300万円の車を6年間で毎年同じ金額を経費にするなら、1年あたりに経費にできるのは50万円ということになります。

何年間で経費にするかの目安は「法定耐用年数」

では、実際に固定資産を買った場合、何年間で経費にすれば良いでしょうか。

・長期間利用することができる建物
・2〜3年で買い替えるパソコン
これらが同じ年数だったら、やはり違和感がありますね。

そこで、この年数の目安として使われているのが、法定耐用年数と呼ばれているものです。

これは税務上の考え方として決められているもので、国税庁のサイトでも確認することができます。

https://www.keisan.nta.go.jp/survey/publish/34255/faq/34311/faq_34353.php

固定資産の種類が違えば使える年数は当然違いますし、同じ建物でもその造りによって、使える年数は違います。

それらの違いを、ある程度反映させて定められているのがこの法定耐用年数です。

多くの会社がこの法定耐用年数をもとに、何年間で経費にしていくかを決めているわけです。

・鉄筋コンクリート造の事務所用建物だから50年
・一般の自動車だから6年
・試験機器だから5年
といった感じです。

余談ではありますが、資産の種類によって耐用年数が決められていますので、そもそも資産の種類を間違えてしまうと耐用年数も間違えてしまうことになります。

機械装置と器具備品など、分かりにくいものもありますので、注意が必要です。
(注意しても分かりにくいものは分かりにくいですが・・・)

固定資産の区分「機械装置」と「工具器具備品」で悩んだら慎重に!
固定資産を購入した場合に、それが「機械装置」と「工具器具備品」のどちらに該当するのか。 どちらでも大きな差はないような気がしますが、注意が必...

法定耐用年数は絶対に守らなければいけないわけではない!?

ちなみに、この法定耐用年数というのは、絶対に守らなければいけないわけではありません。

法定耐用年数というのは、税金計算上のルールとして決められている年数です。

つまり、税金計算上、有利にならない(税金を減らさない)ように調整すれば、許容されるということになります。

固定資産を経費にするのは「使える期間にわたって」と書きました。
それが会計上も正しい考え方になると思います。

もしも
・法定耐用年数は5年
・自社ではその資産は3年したら必ず買い換えることにしている
という資産があった場合、5年にわたって経費にしていくことが正しいとは言えません。

本来なら「3年」で経費にしていくのが実態であるからです。

であれば、会社は3年間で経費にしていくこともアリなのです。

ただし、税金計算上は調整が必要になります。

・300万円の固定資産
・法定耐用年数は5年
・よって、税務上、経費として認められるのは年60万円
・実際に会社で使用できるのは3年
・減価償却は3年を基準として年100万円で処理

この場合、
・税務上認められる減価償却費は60万円
・会計上の減価償却費(実態)は100万円
になっているので、税金計算上で許容される経費よりも40万円だけ多くなってしまいます。

この40万円は、その年には税務上の経費にすることはできませんので、
「税金を計算する時には経費にしない」
という処理をすれば良いわけです(ならして考えれば、トータルで経費にできる金額は同じです)。

実際には大会社を除けば、そこまでやっている会社は多くないと思います。

ただし、「正しい会計」「実態を表す経理処理」を追い求めるならば、法定耐用年数に縛られない処理もアリということになります。

なお、固定資産の経費化(減価償却)を考えるうえでは、耐用年数とともに償却方法(定額、定率など)も大切なポイントになります。

これも耐用年数と同じように、「法定」の償却方法というものもあります。

これらについては、また改めて書いてみたいと思います。

減価償却の方法とは?選べるもの・選べないもの・計算方法の違いなど。
固定資産を経費として処理するのが「減価償却」と呼ばれるものですが、減価償却にはいくつかの方法があります。 選べるもの、選べないものがあ...
固定資産の減価償却費はいつから計上できる?
固定資産を購入した場合、税金計算上、全額を一度に費用化することはできず、減価償却という方法により数年〜数十年かけて費用化していくことになりま...
税制改正による減価償却方法の変更~会社側が戸惑うことは避けてほしい…
平成28年度税制改正では、法人税(所得税)で固定資産(建物附属設備と構築物)の減価償却方法が見直されます。 税制改正による変更内容...

【編集後記】

以前からなんとなく気になっていた「串カツ 田中」に昨日初めて行ってきました。
安くて美味しくて、なかなか楽しむことができたので、また行くことになりそうです。
店内禁煙も〇でした。

【昨日の1日1新】
*「1日1新」とは→詳細はこちら

串カツ 田中
アキレス・ソルボ

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする