固定資産を購入した場合、税金計算上、全額を一度に費用化することはできず、減価償却という方法により数年〜数十年かけて費用化していくことになります。
この減価償却費はいつから計上することができるのか?を簡単に確認してみたいと思います。
減価償却のスタートは実際に使用を開始したタイミング
減価償却のスタートは実際に使用を開始したタイミングということになります。
つまり
・固定資産を注文したタイミング
・手元に届いたタイミング
・開梱したタイミング
・設置した(だけの)タイミング
・お金を支払ったタイミング
では、減価償却費を計上することはできません。
あくまでも実際に使用しているか、使用することができる状態になっているかどうかがポイントです。
パソコンや小型の装置類など、開梱して電源につなげばすぐに使用できるようなものであれば、手元への到着・開梱・使用開始が同タイミングということもあるでしょう。
その場合には、すぐに減価償却を開始することができます。
一方、大型の設備のように設置してから検収までに時間がかかるような固定資産、試運転が必要になるような固定資産であれば、実際に使用するまでは減価償却費の計上はできません。
使用を開始したタイミングとは?
では実際に使用を開始したタイミングとは、具体的にどのようなタイミングになるでしょうか。
税法では「事業の用に供した日」という表現が使われています。
普段の会話では決して登場しない言葉ですね。。。
国税庁ホームページのタックスアンサーには、次のような解説がされています。
Q:減価償却資産を事業の用に供した時期はどのように判定しますか。
A:減価償却資産を事業の用に供したか否かは、業種・業態・その資産の構成及び使用の状況を総合的に勘案して判断することになります。
「事業の用に供した日」とは、一般的にはその減価償却資産のもつ属性に従って本来の目的のために使用を開始するに至った日をいいますので、例えば、機械等を購入した場合は、機械を工場内に搬入しただけでは事業の用に供したとはいえず、その機械を据え付け、試運転を完了し、製品等の生産を開始した日が事業の用に供した日となります。
なお、事業の用に供した日とは、資産を物理的に使用し始めた日のみをいうのではなく、例えば、賃貸マンションの場合には、建物が完成し、現実の入居がなかった場合でも、入居募集を始めていれば、事業の用に供したものと考えられます。
税金計算上、減価償却費が計上できれば、その分の利益が減りますので、減価償却費を早く計上したいというスタンスで考えてみますと。。。
機械装置であれば
・工場内に搬入しただけではダメ
・据え付けただけではダメ
・試運転中もダメ
・製品の生産を開始した日以後はOK
ということになります。
賃貸マンションの事例は、すでに入居できる状態であれば、実際の入居がなくても減価償却可能とされています。
機械装置に当てはめた場合、実際に稼働した日というよりも稼働できる状態が整った日という管理になることが多いのではないかとは思います。
期末ギリギリに購入しても節税効果は??
「節税のためにお金を使わなければ!」などと考えた場合、固定資産の購入にお金を使ってもあまり旨味がありません。
100万円の固定資産を買っても、5年で均等に減価償却するなら、1年で20万円しか経費にすることができないからです(そもそも事業に必要な固定資産は、節税のために買うものではありませんが。。。)。
しかも100万円という現金は先に出ていってしまいます。
ただそれでも、どうせ近々固定資産を買うなら当期中に購入しておこう、という考え方もありだとは思います。
このようなケースで、もしも固定資産の購入が期末ギリギリになるようであれば、「使用を開始するタイミング」を意識しておくことが大切です。
決算日当日に固定資産が手元に届いたとしても、すぐに使用できないのであれば、その期に減価償却費を計上することはできません。
減価償却できるかどうか、わずか1ヶ月分の違いとはいえ、事前の準備次第で経費を計上できるならうまく利用しない手はないかなと思います。
期末近くにバタバタ購入、なんてことにならないように準備を進めておくと良いのではないでしょうか。
ちなみに減価償却費は、総額でみると経費にできる金額は同じなので、当期か来期以降かの違いに過ぎないといえばそれまでのことではあります。。。)
【編集後記】
与党による平成30年度税制改正大綱が公表されました。
関係があるもの、関係がないもの、関係があるかどうか分かりにくいもの、などいろいろかもしれません。
自社・経営者個人にとって影響がありそうなものは、新聞記事など分かりやすい記事を探したりしつつ、誰かに確認するなどして早めに概要を掴んでおくと良いかと思います。
(現時点では具体的に分からないことも多いのですが。。。)
【昨日の1日1新】
*「1日1新」とは→詳細はこちら
なきざかな
シマダカフェ