税金のことや経理のことについて質問を受けた場合や見解を求められた場合、「基本的な考え方」をしっかりと伝えるべきだと考えています。
「基本的な考え方」を伝えるということ
経理処理のことや税金のことなどについて、問い合わせに対応したり研修で説明したりする場合、常に意識しているのは
「結論」だけではなく「基本的な考え方」をしっかりと相手に伝える
ということです。
たまに見かけるのが、相手に「基本的な考え方」を伝えないまま
(表面的な)結論だけを伝えている
というケースです。
基本的な考え方を伝える=>相手がその考え方を理解する
というプロセスがなく、中途半端に結論だけを伝えているようなイメージです。
とりあえず結論は伝えているので、その場では問題はありません。
ただし、少し状況が違う場面に出くわしたとき、「基本的な考え方」を押さえていなければ、自分で考えることができず、改めて問い合わせをしなければならなくなってしまいます。
結果的に、「中途半端に結論だけを伝える」ということが誰のためにもなっていないということが分かります。
もちろん1度聞いただけで全てを理解することはできなかったとしても、やる価値はあると思います。
分かりやすい説明と正確に理解してもらうための説明
また、専門家としては、説明するときには「分かりやすさ」と「正確性」のバランスも大切なポイントになります。
しかし実際には、分かりやすさを優先すると少し正確性に欠けたり、正確性を優先すると説明が多くなって分かりにくくなったり、という問題が付いてまわることになります。
例えば、税金計算上もいろいろな論点がある「役員報酬」や「交際費」の取り扱いなどについては、丁寧に(正確に)説明するのは結構大変なことです。
この「分かりやすさ」と「正確性」とのバランスについては
・説明の相手
・内容
・重要性
などを加味しながらしっかりと検討する必要があります。
ですので、同じような質問を受けた場合でも、「どんな回答が適しているか?」はケースバイケースというところが、なんとも難しいところなのではないかと思います。
なお、その場合でも「基本的な考え方」をしっかりと相手に伝えるべきという考え方には変わりがありません。
分かりやすい説明を優先する場合
多少正確性に欠けたとしても分かりやすい説明を優先するのは、
・それほど重要な論点ではない。
・今後に尾を引かない(単発)。
・相手に自ら考えてもらう必要がない。
というような、非常に限られたケースです。
この場合でも、分かりやすさだけに寄りすぎて、正確性が欠けてしまっては意味がありません。
例えば会社の中で、経費精算などの経理処理に関するガイドやマニュアルを作る場合、経理部門以外の人でも分かるように、分かりやすさが優先されるケースがあります。
・◯◯の場合=>勘定科目「◯◯」を使用してください。
・XXの場合=>XXのように経理処理してください。
のような感じです。
分かりやすさは当然必要ですし、それを意識することは決して悪いことではありませんが、分かりやすさを意識するばかりに、
本来伝えるべきことや教えるべきことまで省いてしまっていないか?
ということは常に意識しておく必要があるのではないかと考えています。
正しく理解してもらうための説明を優先する場合
「正しく理解してもらうための説明」を優先するのは、「分かりやすい説明」を優先する場合の逆になります。
・重要な論点。
・今後も似たようなケースが発生することが想定される。
・次回以降、きちんとその相手に判断していただきたい。
このような場合には、結論だけを伝えて楽をするのではなく、正しく理解してもらうための考え方をしっかり伝える必要があります。
それをしないのは、その相手が自分で考える機会や成長する機会を奪っているとすら言えるのではないかと考えています。
ちなみにこのようなことを考えながら対応していると、
・結論だけ教えてくれればいいのに。。。
・考え方にはあまり興味ないし。。。
という雰囲気を感じることもあります。
その場合でも大切なことだと思えば、あえて気づかないふりをして、きちんと伝えるようにしていることもあります。
ただ、伝える側の自己満足にならないように、(強い)押し付けにならないように、ということだけは心がけるようにしています。
【編集後記】
一旦失った信頼はその後取り戻そうとしてもなかなか難しいものです。
政治でもビジネスでも同じだなと思います。
【昨日の1日1新】
*「1日1新」とは→詳細はこちら
某ビジネス系会員組織への入会