ここ最近、ニュースでも話題になっているのが、日産自動車を復活させて、コストカッターなどとも呼ばれてきたカルロス・ゴーン氏の役員報酬に関する報道です。
ニュースになっている役員報酬の過少申告って?
ニュースなどではいきなり「ゴーン氏逮捕!」なんて見出しになっていたので、いったい何事?と思った人も多いのではないかと思います。
よくよく聞いてみると、「金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)の容疑」らしいです。
有価証券報告書というのは、上場している会社は必ず作成しているものです(上場していない会社でも一定の会社は作成していますが)。
会社のこと、事業のこと、業績のこと、今後の見通しなど、様々な情報が記載されているもので、投資家などがその会社について詳しい情報を知ろうとしたときには必ず確認するものです。
で、その有価証券報告書には、「役員報酬」が高額である場合(1億円以上)には、その金額を記載しなければならないことになっています。
報道によると、有価証券報告書に記載されているゴーン氏の役員報酬(5年間で約50億円)が実際の役員報酬額(5年間で約100億円)よりも小さい、つまり過少に申告されていた疑いがあるということのようです。
脱税チックな響きがありますが!?
この「過少申告」って見出しだけを見ると、なんだか脱税チックな響きがありますが、実際のところがどうなのかは分かりません。
あくまでも、
有価証券報告書への記載額がいわゆる「役員報酬額」よりも少ないんじゃない?
という容疑があるということしか分からないからです。
実際にはあり得ない気はしますが、
・税金計算上はしっかりと役員報酬として取り扱っていた
・必要な税金は法人(日産自動車)、個人(ゴーン氏)とも納めていた
・単に有価証券報告書の役員報酬額だけを小さく見せていた
ということであれば、税金計算上は問題ないという可能性もあります。
もちろん、税金計算上の取り扱いも役員報酬とはしておらず、追加で納税が必要になる可能性はあります。
ただ、その場合でも、
・会社側はゴーン氏への様々な便宜を役員報酬とは思っていなかった(事業活動上、必要)
・ただし、税務当局はその便宜を役員報酬とみなした
ということであれば、あくまでも「見解の相違」という位置付けになるのかもしれませんし、そうなると「脱税」というイメージとは異なるのかなと。
それでも、仮装隠蔽があるなど、悪質とみなされれば重加算税の対象になる可能性もあるのでしょうが。。
お金を受け取っていなくても役員報酬!?
普通に考えると、役員報酬として支払った金額を「役員報酬としない」なんて、あり得ないのでは?という気がします。
例えば、会社が5年間で100億円を役員報酬として現金で払っていた場合、それが帳簿にも記載されているわけですから、外部への報告をごまかすことは難しいです。
(借方)役員報酬 (貸方)現金預金 100億円
こんな仕訳があるのに、「役員報酬は50億円です」って、考えられないですね。
今回問題になっているのも、直接的に報酬として支払った金額以外に、「役員報酬として取り扱う性質のものがあるのでは?」ということです。
現在、報道されているのは
・外国に子会社を設立して、ゴーン氏のために住宅を買った
・経費を私的に使ってたいた
というようなことです。
このように、現金ではなくて「物」を支給したり、特別な便宜をはかったりすると、それは「役員報酬」とみなされてしまう可能性があるわけです。
役員報酬というのは、税務上の経費(損金)にするためにはいろいろな縛りがあり、そこから外れると経費としては認められなくなってしまいます。
今回のケースでどのような処理がされていたのか分かりませんが、
・税金計算上、役員報酬として処理していない
・税務当局が役員報酬とみなす
ということになれば、差額50億円に対して法人税が課されたり、源泉所得税が課されたりという影響が会社側に出てくる可能性があります。
今回の一連の流れは、報道されている一部の情報だけなので、実際のところは分からないことも多いです。
ただ、「お金を報酬として払っていなくても役員報酬になる可能性がある」ということは、日頃から意識しておくと良いのではないかと思います。
【編集後記】
昨晩は娘の誕生日ということで、普段より少し豪華な食事とケーキを食べました。
誕生日に家族でご飯を食べるというのが、これから先、あと何回あるのか?
ふと考えてしまいました(ただいま高1)。。。
【昨日の1日1新】
*「1日1新」とは→詳細はこちら
初めて利用する不動産情報サイトいろいろ
ブランのパンケーキ