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役員報酬の税務上の取り扱い〜分かりにくさを解消するために建議書の内容に大賛成

geralt / Pixabay

ほとんど(全て)の経営者にとって、大きな関心事の1つである役員報酬ですが、法人税法上の取り扱いはかなり分かりにくいものになっています。

損金に算入できる(税務上の経費として認められる)要件が厳格に決められているからです。

法人税法における役員報酬の取り扱い

法人税法の規定では、次のどれにも該当しない役員報酬は損金に算入できないとしています。

(1)定期同額給与・・・事業年度の各月の給与支給額が同額
(2)事前確定届出給与・・・事前に届出をした給与
(3)利益連動給与・・・利益に連動して算定される給与

このように書くと簡単に見えますが、いろいろな要件が定められています。

要件のざっくりしたイメージだけですが、
(1)・・・事業年度開始から3ヶ月以内の改定しか認められない(例外あり)。
(2)・・・事前支給額等を税務署に届け出ることが必要(時期等の縛りあり)。
(3)・・・有価証券報告書などに算定方法を定めることが必要
といった感じで定められています。

実際にはいろいろなケースを想定して、もっと細かく定められています。

「こういう場合の取り扱いはどうなのか?」というようなQ&Aも多く用意されているくらい、実際の適用関係を検討する場合には分かりにくいことも多いです。

全て書き出すとキリがありませんので今回は割愛します(実際の適用にあたっては専門家にご相談ください)。

役員報酬について一言で言えば、
「事業年度が始まってすぐ以外には報酬額を変更することができない。」
ということです。

「今年は利益がたくさん出たから役員報酬をたくさん取ろう。」という調整(税務署から見ると利益調整でも、経営者から見るとごく当たり前の感覚)が認められないということです。

そもそも役員報酬については
・原則として損金に算入できない。
・例外として一定の要件(上記の3つ)を満たせば損金に算入できる。
という考え方が、この規定が分かりにくくなっている理由ではないかと考えています。

日本税理士会連合会の建議書の内容

平成28年6月23日付で、日本税理士会連合会による「平成29年度税制改正に関する建議書」が公表されました。

建議(書)については以前こんなことを書きました。

税理士の活動といえば、税務相談やその他の経営相談、税務申告などがパッと思い浮かびます。 このようなクライアントに対するサービス提供だけ...

今回の建議書のなかでは、役員報酬について次のような記載があります。

経営者のモチベーションを高めるためにも、損金不算入とする役員給与を明示した上で、役員報酬及び賞与について株主総会等の決議によって事前に確定した金額の範囲までの部分については、不相当に高額なものを除き、原則として損金の額に算入すべきで ある。

役員報酬は、明らかな課税逃れを意図したものや高額すぎるものを除いて、原則として損金として認めるべきという内容です。

実際にどのようなルールを作るのかは難しいところかもしれません。

しかしこれが実現すれば、多くの経営者にとっていろいろな選択肢が増えることは間違いありません。

最後に

役員報酬が良い例ですが、「課税逃れを認めない」側の意図が強く反映されていて、一般的な感覚からすると、必要以上に分かりにくいルールが多く存在しています。

課税をする上での「公平性」は大切ですが、一般の人が理解しにくいようなルールをたくさん作っても、あまり意味がないように感じます。
(相談を受ける税理士の仕事は増えるのかもしれませんが!?)

簡単には進まない気もしますが、今後の進展に期待したいと思います。

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【編集後記】

プロ野球のセ・リーグは気づけば広島が独走しています。
6月29日時点で首位の広島と2位巨人とのゲーム差が9、一方で2位から6位までのゲーム差はわずか4。
2位以下の混戦もそれなりに面白そうではありますが、さてどうなることやら。

【昨日の1日1新】
*「1日1新」とは→詳細はこちら

手首痛で整形外科受診

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