経営者にとって大きな関心ごとである借入金。
「借入金=悪」という考え方もありますが、考え方次第で、うまく付き合っていく分には決して悪いものではないと考えています。
借金は人も会社もおかしくする!?
以前にも書いたことがありますが、時間があるときにパラパラと松下幸之助さんの言葉をまとめた本を読んでいます。
この本の中に次の言葉がありました。
「借金は人も会社もおかしくする」
付されているコメント内容を抜粋すると以下のような内容です。
・銀行から金を借りるのは回転資金のため
・長期資金を借りては自分自身の基本を間違える=>事業は自己資金で行うもの
・安易にお金が入ると実力以上の投資をしがち
・無借金経営は不変の法則
確かに、そのような考え方で思った通りに事業ができれば理想だよね、とは思います。
ただ、それがどんな会社にも当てはまるかと言えばそうではないケースも多いと考えています。
「借金=悪」とは必ずしも言い切れないからです。
無借金経営と実質無借金経営
無借金経営
財務体質が健全な企業の代名詞として使われるのが「無借金経営」という言葉です。
文字通り、借入金や社債など利息の支払いが必要な借金(有利子負債)がない状態です。
貸借対照表を見ても「借入金」という科目が存在しない会社で、無借金経営として有名なところでは(株)キーエンスなどがあります。
無借金経営のメリットとしては、借入金の返済がない分、経営者が精神的に楽だったり利息の支払いがないことなどがあるでしょう。
とはいえ、中小企業にとっては、借入金ゼロ、無借金経営にすることにはリスクもあります。
その1つは金融機関とのつながりが弱くなる可能性があるということです。
例えば、突発的な資金需要があった場合、実際に借りるまでに手続き等で時間がかかる可能性もありますし、初めての取引であれば、希望額満額を借りることができないかもしれません。
いくら財務状態が健全だとしても、です。
無借金経営を実現して、「金融機関から融資を受けている」という関係性を絶ってしまってもいいのかどうか、検討しておく必要があります。
実質無借金経営
無借金経営と似た考え方に「実質無借金経営」というものがあります。
「実質的に」無借金ということですので、実際には借入金があります。
ただし、それよりも多くの現金預金(厳密には短期の有価証券を含む)を持っているということです。
現金預金 > 借入金
というバランスであり、借入金を返そうと思えば手元の現金預金から返済できるということです。
もっとも、借入金を全額返済したら現金預金が手元に残らない、運転資金には足りない、という状態であれば、「実質無借金」とまでは言えないかもしれませんね。
いずれにしても、「実質無借金」状態であれば、財務の安全性としても「無借金経営」に引けを取りませんし、金融機関との関係性を維持しておくこともできます。
その意味では、まずはこの「実質無借金」を目指すべきラインとして設定してみるのが良いかもしれません。
なかには利息の支払いがもったいないという考えもありますが、現在の低金利を考えると、必要な手数料と割り切るのもアリかなと思っています。
「無借金」「実質無借金」を目指さなくても良いステージ
事業が安定している状態、会社が成熟している状態であれば、
・実質無借金を目指していくことで
・財務安全性、健全性を高めながら
・会社を強くしていくこと
を意識していけば良いでしょう。
ただし、会社が、これから新たに事業を始めよう、事業を大きくしていこうと考えているステージであれば、必ずしもここにこだわる必要はないと思います。
設備投資が必要になることもありますし、事業立ち上がりまでは人件費などの経費が先行してかかることもあるでしょう。
すべてを自己資金でまかなおうとすれば、必要な投資(人、モノ)ができなくなってしまいますので。
やみくもに無借金を目指すのではなく、会社のステージ、事業の状況に合わせてどこを目指すべきかを考えていく必要があります。
【編集後記】
盛り上がるワールドカップの裏(!?)で、アメリカの女子ゴルフツアーで畑岡奈紗さんが初優勝しました。
19歳での優勝は日本人最年少らしいです。
これから楽しみですね。
【昨日の1日1新】
*「1日1新」とは→詳細はこちら
日高屋 ニラレバ炒め単品
ユニバーサル広告社(Amazonプライム)