できれば避けたいところではありますが、やむを得ずに会社が損害賠償金を支払うことがあります。
その場合、税金の計算ではどのように考えるのか、簡単に整理してみます。
会社が支払う損害賠償金
会社が支払う損害賠償金には、いろいろなものがあります。
・自社製品の不具合で取引先に損害を与えてしまった。
・他社が持っている特許を侵害してしまった。
・役員が社員が運転中に事故を起こして怪我をさせてしまった。
などなど。
一口に損害賠償金といっても性質はいろいろなので、いくつかのケースに分類しておくと分かりやすくなります。
どのような場面で?
・業務中、業務遂行に関連するもの
・業務外、業務遂行に関連しないもの
原因、責任の所在は?
・故意や重大な過失があるかどうか
会社が「損害賠償金」として支払うことは確定しているとして、これらの状況次第で、税金の考え方や経理処理の方法が変わってくることになりますので、注意が必要です。
税金の考え方
税金の考え方としては、税金計算上の経費(損金)になるかどうかが大きなポイントになるかと思います。
経費(損金)になるケース
・業務中や業務遂行に関連する行為
・故意ではない、重大な過失はない
ということであれば、税金計算上も経費(損金)として認められることになります。
やむを得ず、製品に不良品が混ざってしまい、損害を与えてしまった。
やむを得ず、営業マンが営業中に自動車事故を起こして怪我を負わせてしまった。
ようなケースはOKということになりますね。
経費(損金)にならないケース:故意・重過失あり
・業務中や業務遂行に関連する行為
のなかで発生した事象に関する損害賠償だとしても、故意や重大な過失があれば、それは経費(損金)としては認められないことになります。
何をもって故意なのか、何をもって重過失なのか、という判断は難しいところではあります。
ただ、あきらかに・・・というのはありますね。
例えば、営業マンが得意先からの帰り道にお酒を飲んで、飲酒運転をした結果、事故を起こしてしまった。
なんていうのは、あきらかに重大な過失ということになります。
前日の夜遅くまで接待でお酒を飲み、翌朝、酒気帯び運転で事故を起こして引き逃げ、なんていうのももちろんダメですね。。
経費(損金)にならないケース:業務外
よく例示されますが、営業マンが休日に営業車を運転して事故を起こした場合など、業務外で発生した損害賠償金を会社が負担する場合も、税金計算上の経費(損金)にはなりません。
「業務外」なので、まあ当然ですね。
会計の処理
税金計算上の経費になる場合には、会計上も経費として計上すれば良いことになります。
勘定科目は雑損失とか特別損失とか、内容や会社の考え方で設定、整理すれば問題ないかと思います。
では、税金計算上の経費(損金)にならない場合にはどうなるでしょうか。
会社が支払った損害賠償金は、その当事者である個人(役員や社員)が負担すべきである、と考えて、その個人に対する債権という扱いになります(貸付金など)。
債権なので、その時点では損益に与える影響はありません。
そして
・債権を回収した=>債権を消し込んで終わり
・債権が多額で回収できない部分がある=>貸し倒れとして処理
・債権のなかで回収できるのに回収しなかった場合=>報酬、給与
として取り扱うことになります。
ただし、「回収できない=>貸し倒れ」というのは、本当に回収できないのか?というのを慎重に検討する必要がありますので、「なんでもかんでも簡単に貸し倒れ」とは出来ないことに注意が必要です。
【編集後記】
ジャイアンツの高橋由伸監督が辞めることになりました。
リベンジの機会を考えるなら、今回、一旦退任するのはアリなんでしょうね。
本人がどの程度、自分がやりたい野球をやることができていたのか?
知りたいところですね。。。
【昨日の1日1新】
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さいたま商工会議所