松下幸之助さんは、経営をするうえでは、モノやお金、さらには信用・時間・心にも、「ダム=蓄え」が大切だと説かれていたそうです。
「ダム経営」という言葉を聞いたことがある方は多いかもしれません。
ダム経営は、企業の免疫力
以前からちょこちょこと紹介している松下幸之助さんの言葉をまとめた本で、昨日のページが「ダム経営は、企業の免疫力」というものでした。
松下幸之助に学ぶ指導者の三六五日―この時代をいかに乗り切るかposted with ヨメレバ木野 親之 コスモ教育出版 2009-11-27 Amazon
松下幸之助さんの言葉として、本の中で紹介されているものを箇条書きすると
・いつでも「店」を閉める覚悟で仕事をしてきた
・「店」を閉めるとなるとお金がいる
・「店」を閉めるとお客様、取引先、従業員に迷惑をかける
・そのためには「蓄え」がないとダメ
ということのようです。
さらには、「モノ・お金」のダムだけでなく
・信用のダム
・時間のダム
・心のダム
も大切にされていたのだとか。
「ダム経営」という言葉を聞いたことがある方は多いかもしれませんし、ネットで検索してみるといろいろと記事になっていますね。
ふと気になって確認してみると、Panasonicのホームページの「企業情報:歴史」の中で、昭和40年に「ダム経営」について講演をされたという記事が紹介されていました。
その講演でのダム経営について、次のように語られたと紹介されています。
ダム経営とは、最初から一定の余裕をもった経営のあり方であり、あたかもダムに入れた水を必要に応じて徐々に流していくように、たとえば、需要に変動があった場合、品物が足りなくなったり、余り過ぎたりしないように、余裕設備を動かしたり、休ませたりして、安定的な経営を進めるというもの。それは設備だけではなく、資金、人材、在庫についても同様である。
Panasonicのホームページ(企業情報:歴史:松下幸之助の生涯)より
外部環境の変化にも耐えられるよう、様々なモノ・コトに余裕をもっておくこと、蓄えをもっておくことが大切ということですね。
「蓄え」への意識を高めること。まずは「お金」から。
この「蓄え」への意識というのは非常に大切なものだと思います。
まずは会社であれば、「お金」の蓄えが第一優先になるはずです。
上記の書籍でも、最後に
「ダム経営の前に『無借金経営』があることは言うまでもありません」
といった趣旨のことが書かれています。
なんだかんだ言っても、「最後はお金があればなんとかなる」ということもあるでしょう。
逆にどんなに素晴らしい会社、事業、人、アイデアがあったとしても、お金がなければどうにもならない、将来に繋げられない、ということもあります。
だからこそまずは「お金」であり、お金からある程度解放されたあとで、「ダム」「蓄え」へと意識が向かうというのが現実的なのだと考えています。
そして、会社がお金を蓄えるために必要なことは
・きちんと利益を出して
・税金を納めて(無駄な税金は払わない)
・結果として手元にキャッシュを残す
ということです。
いくら利益が出ているか?
ではなく
いくらお金が増えたか?
を重視していく感覚が必要なのではないかと。
無駄な支出による節税は結果として手元に残るキャッシュを減らすことになってしまうので、「蓄えとは正反対」であることを認識しておいたほうが良いですね。
「お金」の次は?
お金のダムができたとして、それ以外でも、「信用」「時間」「心」のダムを大切にされていたということが、前述のとおり、書籍に書かれています。
これらは一例だと思いますが、総じて言えることは「余裕をもっておくことの大切さ」なのではないでしょうか。
ややもすると、「効率最優先」とか「それってムダじゃない?」なんて発想にもなりがちですが、そうではないということになりますね。
もちろん会社の置かれている環境、会社のステージなどによっても変わってくるとは思いますが、ある程度、外部環境の変化についていけるようなゆとりを持てるようになるのが理想です。
会社によって目指すレベルは違いますが、「ムダ」ばかりに目がいって、「ダム」の発想が抜け落ちていないか、一度振り返ってみるのも良いかもしれません。
「それは分かるけど・・・」で済ませない!?
「ダム」が理想なんて分かるけど、実際には無理だよね・・・
なんて感覚を持つ人も多いのではないでしょうか。
ただ、「それは分かるけど」で済ませてしまう、終わらせてしまうのはもったいないのではないかなと思っています。
大きなダムでも小さなダムでも、お金のダムでも心のダムでも人のダムでも、自分の会社なりの「ダム」を意識して、できるところから始めていくということでも良いのではないかと。
確認が取れたわけではありませんが、ダム経営の考え方について
・松下のような大きな会社だからできる
・言うのは簡単だけど、どうやってやるの?
という感覚の人が多いなかで、それを「良い!」と感じて実践されたのが京セラの稲盛さんなのだとか。
どんなことであれ、「それは分かるけど・・・」で済ませるのではなく、
自社だったら「どれならできるか?」「なにから始められるか?」
を考えてみるという感覚が大切なのだと改めて感じています。
【編集後記】
昨日から仕事始めという方が多かったのでしょうか。
朝の電車に乗りましたが、案の定、混雑で電車が遅れていたり、メトロではホームへの入場規制が行われていたりして、普段の1.5倍くらいの時間をかけてようやく目的地に到着しました。。
【昨日の1日1新】
*「1日1新」とは→詳細はこちら
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