消費税の確定申告について、会社の状況によっては消費税の計算期間を短縮することがオススメだと書きました。
で、その記事の中では、短縮した場合の落とし穴にはふれていなかったので、簡単に書いておきたいと思います。
消費税を計算する期間の単位
まずはおさらいも兼ねて、消費税を計算する期間について確認します。
消費税では、税額を計算する期間を課税期間と読んでいます(事業年度や暦年とは異なる場合があります)。
課税期間の原則は
・法人の場合:事業年度
・個人の場合:暦年(1月1日〜12月31日)
です。
法人の多くは事業年度が1年ですので、法人でも個人でも1年に1回、消費税の申告をしなければならないということになります(消費税の納税義務がない法人、個人はもちろん不要)。
また、これとは別に中間申告が必要になります。
中間申告の要不要、申告回数は、直前の課税期間における消費税額の金額次第で、
・最大年11回(確定申告と合わせると12回=>毎月申告納付)
・年3回(確定申告と合わせると4回=>3ヶ月ごとに申告納付)
・年1回(確定申告と合わせると2回=>半年毎に申告納付)
・中間申告不要(確定申告のみ)
に分かれます。
中間申告の場合、税務署から納付書が送られてくるので、それをそのまま納付しているだけという会社が多いかと思います。
(中間申告の期間を一課税期間とみなして計算する、仮決算という方法もありますが)
ですので、いわゆる申告で手間がかかるのは年1回の確定申告のときだけ、という意識の方が多いのではないでしょうか。
まあそもそも、全てを税理士にお任せであれば、その感覚も不要かもしれませんが。。
課税期間を短縮する場合のメリット
中間申告が手間がかからないことを前提とすれば、消費税の申告で手間がかかるのは確定申告のときです。
法人の事業年度が1年なら課税期間も1年になりますので、1年に1度ということになります。
そうなると「できるだけ手間をかけたくないから、確定申告は1年に1度にしたい。」というのが普通の感覚かもしれません。
ただ、課税期間を短くすることのメリットがあるケースも存在します。
具体的には、消費税を申告して毎年還付を受けているような場合、課税期間を短くすることで早めに還付を受けることができるようになります。
・1年に1度の申告=>還付も1年に1度
・3ヶ月に1度の申告=>3ヶ月毎に還付を受けられる
ということです(総額は変わりませんが)。
このようなケースでは、課税期間を1年よりも短くして、早めに還付を受けることできれば、資金繰りの改善などに役立つこともあるでしょう。
詳細はこちらの記事をご確認いただければ。
短縮した場合の落とし穴
上記のように、課税期間をあえて1年よりも短くする場合のメリットを書いていました。
ただ、この場合の落とし穴には触れていなかったので、簡単に。。。
それはズバリ、会計処理や申告を間違えていた場合の修正対応です。
・課税期間が1年の場合・・・確定申告書は1年ごとに作成
・課税期間を3ヶ月に短縮した場合・・・確定申告書は3ヶ月ごとに作成(1年で4回作成)
ということになります。
例えば、勘違い等により、1年間、継続的に消費税の処理を間違えていたとします。
もしもこれが税務調査で発見された場合、原則として確定申告書を修正することになります。
修正するのは確定申告書ですので、
・課税期間が1年・・・修正申告書の作成は1件
・課税期間を3ヶ月に短縮・・・修正申告書の作成は4件
ということになるわけです。
もしも税務調査で3年分修正することになれば、修正申告書は12件です・・・
課税期間を1ヶ月に短縮している会社なら、3年間で36件・・・
自主的に気づいた場合、どこかの課税期間で修正しているケースが多いのではないかと想像しますが、税務調査で見つかった場合には、そのように融通をきかせてもらうことができるのかどうか。
交渉次第かもしれませんが、原則としてはNGです。
もちろん間違いがないのが一番ですが、うっかりミスや思い込みによる間違いをゼロにするのはなかなか難しいです。
そのようなリスクも踏まえつつ、課税期間を短縮すべきかどうか、メリットデメリットのどちらが大きいか、を検討してみてはいかがでしょうか。
【編集後記】
久しぶりに前職場近くの紀伊国屋に行ったところ、店内にカフェスペースができていました。
ここにも出来たか!なんて思って、いつ頃出来たのかを調べてみると、もう1年以上前だったようで。
その間、少なくとも3〜4回は行っていると思いますが、余裕がなかったのか、なんだったのか、気づきませんでした。。。
【昨日の1日1新】
*「1日1新」とは→詳細はこちら
税務申告ソフトのとある機能