消費税の転嫁対策、
消費税の転嫁とは
消費税は、基本的に物やサービスを買う時に買い手が支払うべきものです。(最終負担者が誰かなどの細かい話は抜きにして)。
そして消費税の転嫁とは、売り手が買い手(本来消費税を払うべき人)にきちんと消費税を負担してもらうということです。
普段の取引においても不当に消費税を支払わないことは許されませんが、消費税率の引き上げがあると、そのタイミングで問題が発生することが多くなるようです。
例えば、消費税率が8%から10%に上がった場合、転嫁とは2%分をきちんと買い手に負担してもらうことです。
一方で、2%の負担増を買い手が拒否し、今までと同じ税込金額で買おうとすることは、「消費税の転嫁拒否」として問題がある行動ということになります。
消費税転嫁対策特別措置法とは
あまり耳慣れないかもしれませんが、こんな法律があります(平成30年9月30日まで)。
公正取引委員会のホームページに「消費税転嫁対策コーナー」(http://www.jftc.go.jp/tenkataisaku/index.html)
その中に、消費税転嫁対策特別措置法の概要が分かるリーフレットなどが
*リーフレット1枚目のスクリーンショット
詳細版の資料には、この法律の目的が次のように書かれています。
消費税率の引上げに際し,特定事業者による消費税の転嫁拒否等の行為を迅速かつ効果的に是正するための特別措置など,所要の法整備を講ずることにより,消費税の円滑かつ適正な転嫁を確保することを目的とする。
端的にいえば「消費税率の引き上げ分をきちんと(円滑に)転嫁できるようにすること」が目的ということになるかと思います。
措置法で禁止されていること
措置法の中で「第1 消費税の転嫁拒否等の行為の是正に関する特別措置」として、次の行為が禁止されています(対象となる事業者など、前提はいくつかありますが)。
・減額
・買いたたき
・商品購入,役務利用又は利益提供の要請
・本体価格での交渉の拒否
・報復行為
具体例は上のスクリーンショットのリーフレットに書かれていますが、消費税率が上がった分の値引きを要求するような行為はダメということです。
転嫁拒否をした会社(事例)は実名で紹介されてしまう?
上で紹介した公正取引委員会のホームページのなかに、「パンフレット・ポスター類(http://www.jftc.go.jp/tenkataisaku/pamphlet.html)」のページがあります。
さらにその中の「説明会資料」の項目に、転嫁拒否の具体的事例が紹介された資料がアップされています。
*【本文】消費税の転嫁拒否等の行為に関する具体的な事例について
*【業種別資料集】消費税の転嫁拒否等の行為に関する具体的な事例について
(毎月資料が更新されるため、リンクは貼りません。)
このうち【業種別資料集】のほうでは、禁止されている事項の紹介と併せて、違反した行為に対して行った勧告の内容が実名入りで紹介されています。
その中には、JR系の会社や地方自治体、広島東洋カープなんていうのもありました。
実際のところ、買いたたきと通常の値引き交渉の境目はどこなのか?というのも難しい気はします。
ただ違反事例とされるからには、双方納得しての交渉ではなかったということは言えるのかもしれません。
買い手側の立場になる可能性がある場合、交渉には注意が必要です。
当たり前の交渉と思っていても、実名で晒されてしまうと目も当てられませんので。
売り手側の立場の場合、お客様との関係で交渉が難しい場面もあるのではないかと思います。
しかし、個人事業者が消費税の免税事業者であることを理由に消費税を払ってもらえなかったというような酷いケースがあると聞いたことがあります。
どこまで交渉できるかは難しい部分もありますが、少なくとも「どういう行為が違反に当たるのか」を正しく理解しておくだけでも、交渉に役立つことはあるのではないでしょうか。
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【編集後記】
あっという間に四半期決算が始まり、仕事に取られる時間が少し増える時期に突入しました。
こんな時こそ、最近入手したこの本を再読して効率よく仕事を進めなければなりません。
【昨日の1日1新】
*「1日1新」とは→詳細はこちら
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