安定した経営のため、そして会社を継続・発展させていくためには、現金預金の残高にこだわり、現金預金への意識を高めておくことが欠かせません。
結果として、資金繰りや業務の見直し、不正防止にも有効です。
現金預金の残高にこだわって意識を高めておくこと
安定した経営のためには、
「現金預金の動き」と「現金預金の残高」にこだわって意識を高めておくこと
が大切です。
・毎日、現金残高を数える必要があるか?
あるいは
・毎日、インターネットバンキング等で預金残高を確認する必要があるか?
というのは会社の規模にもよりますし、意見が分かれるところではありますが、それくらいの意識をもっておいても良いのではないかと考えています。
・いま現在の現金預金がいくらあるのか?
・明日の入金予定は?
・明日の支払予定は?
・1週間以内の入金予定は?
・1週間以内の支払予定は?
・月末までの入金予定は?
・月末までの支払予定は?
といった感じで、会社であればエンドレスで入出金業務が発生しますし、支払のためのお金を常に用意しておく必要があります。
だからこそ、現金預金への意識は高ければ高いほど良いということになります。
「現金は嘘をつかない」から基準として使うことができる
「現金は嘘をつかない」とか「現金は現実」などとよく言われています。
利益というのは収益から費用を差し引いて計算した結果に過ぎません。
一定の会計のルールに則って計算しているものですので、会計情報としては正しいのですが、現金預金の増減とはリンクしていません。
また、違うルールで計算すれば変わる可能性があるのが利益です。
一方、現金預金は「実際にあるもの」ですので、「嘘をつかない」「現実」ということになるわけです。
会社というのは、いくら利益が多く出ていても、現金預金が無くなってしまったら終わりです。
従業員に給料を払えなくなったり、仕入先などへの支払いもできなくなってしまえば、事業を継続することはできませんので。
つまり対外的に「正しい会計情報」が必要なのは当然として、それとはリンクしていない現金預金の増減や現金預金の残高に目を向けておく必要があります。
「現金預金は現実」ですから、常に何かしらの基準を設けて、自分のなかで比較できるものにしておけば良いわけです。
このように、資金繰りに対する理解・意識を高めておくことができれば、
「損益だけに目がいって、気づいたら現金預金が足りなくなっていた・・・」
なんてこと避けられるはずですね。
改善すべき項目へのアンテナ
このように、毎日のように現金預金の動きや残高を見ておけば、会社として改善すべき項目が見えてくることもあるでしょう。
・利益が出ている割には現金預金が思ったほど増えていない。
・売上が増えれば増えるほど現金預金のやりくりが厳しくなっている。
・新商品の取り扱いを開始するため在庫をもち始めたら、現金預金が減ってしまった。
・季節変動が激しくて、現金預金に余裕がある時期と余裕がない時期の差が激しい。
・ある特定のお客さんからの入金が遅れ気味。
・ある特定のお客さんへの売上が増えれば増えるほど資金繰りが厳しくなる。
というようなことにも、早めに気づくことができるようになると思います。
感覚として頭では分かっていたことでも、現金預金に注目しておくことで、再確認できるというイメージですね。
このような項目が見えてくれば、その中で改善すべきこと、改善できそうなことをピックアップして、出来るところから取り組んでいけば良いわけです。
そのためのアンテナを立てておくためにも、現金預金にこだわっておくことが必要になるのではないでしょうか。
不正の防止につながることも
また、会社規模がある程度大きくなってくると、経理業務や現金預金の管理を、経営者や経営者の親族以外の従業員に任せる場合も出てきます。
このときに、どのような管理体制を構築するか?というのは非常に大切なポイントです。
・経営者としては、従業員に管理を任せるならある程度はしっかりと任せたい。
・ただし丸投げにしてしまうと、いろいろなリスクがある。
というジレンマは必ず生じることになります。
ニュースでよく話題になる経理に関する不正ですが、
「ある責任者・担当者に権限が集中していて、ほとんど任せっぱなしだった。」
という状況で発生していることが多いです。
ですので、任せるとしても、しっかりと管理しておくことが必要になるわけです。
その点、経営者自身が現金預金にこだわっていれば、現金預金の残高や動きにしっかりと意識が向いているわけですから、不正を働くことも難しくなるでしょう。
このように、いろいろな観点から、現金預金にこだわって、意識を高めておくことが大切になります。
もしも、今までは少し意識が弱かったかな、ということであれば、今後、少しは現金預金へのこだわりや意識を高めていけるように心がけてみるのが良いのではないでしょうか。
【編集後記】
今年はいつになく、というか大人になってからは最も多く高校野球の試合を見ているかもしれません。
それにしても、「プロ注目の投手」なんて枕詞がつかないピッチャーでも、普通に140km台のストレートを投げているんですね。
【昨日の1日1新】
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