売掛金など債権の回収ができなくなった場合、貸倒処理や貸倒引当金の計上を検討する必要があります。
今回は、税金計算上(法人税法上)、貸倒引当金の計上がどのような法人に認められているのかを簡単に整理してみます。
貸倒引当金とは
貸倒引当金とは、売掛金などの債権が回収できなくなるリスクに備えて、将来回収できなくなりそうな金額をあらかじめ見積もったうえで、費用計上する場合に使用される勘定科目です。
回収できない金額の引当金計上
例えば、来年以降に100万円の回収が出来なくなりそうであれば、
貸倒引当金繰入(費用になるもの) 100万円 / 貸倒引当金 100万円
こんな処理をすることになります。
ちなみに貸倒引当金というのは、貸借対照表の左側(資産側)にマイナス金額で表示されていることが多いかと思います。
回収できなくなった場合
もし翌年に本当に回収できなくなった場合でも、すでに前年に100万円を貸倒引当金繰入として費用計上していますので、その年に費用が発生することはありません。
処理としては
貸倒引当金 100万円 / 売掛金 100万円
あるいは
貸倒引当金 100万円 / 貸倒引当金戻入(収益になるもの) 100万円
貸倒損失(費用になるもの) 100万円 / 売掛金 100万円
*1行目の貸倒引当金戻入と2行目の貸倒損失とで相殺されて損益はゼロ
ということになり、どちらにしても損益へのインパクトはありません。
もしも貸倒引当金を計上していなかったら?
仮に、前年に貸倒引当金を計上していなかったとしたら、
貸倒損失(費用になるもの)100万円 / 売掛金 100万円
となって、その年にいきなり100万円の費用を計上することになります。
貸倒引当金を計上するかしないかには、
・「回収できない可能性があること」にあらかじめ備えておく(費用計上しておく)のか?
・実際に回収できなくなった場合に費用処理するのか?
という違いがあるわけです。
会計と税金計算上の考え方の違い
このようにあらかじめ将来の貸倒れのリスクを見積もって計上する貸倒引当金ですが、税金計算上は、一定の法人にしか認められていません。
会計(正しい利益を計算する)という観点からは、
将来発生する費用をあらかじめ計上しておく
というのが望ましいことになります。
もしも
・債権が回収できなくなる可能性がある
・債権が回収できなくなる可能性を見積もることができる
のであれば、貸倒引当金を計上しておいたほうが望ましいという考え方です。
前述のケースでは、
前期に100万円を回収できない可能性が高いことが分かっていたのに何も処理せず、実際に回収できないことが確定した年に100万円を費用処理する。
というのは、会計上はあまり好ましいことではないということになります。
一方、税金計算(法人税法)の基本的な考え方は
確定していない将来の費用は経費(損金)にはできない
というものです。
もしも、なんでもOKとしてしまうと、利益が多く出た年に貸倒引当金をたくさん見積り計上することで経費を増やして、税金を減らすことができてしまいますので。。
このように会計と税金では基本的な考え方の違いもあり、貸倒引当金が限定的にしか認められていないということになります。
貸倒引当金の計上が認められるのはどんな法人?
貸倒引当金の計上が法人税法で認められているのは次の法人に限られています。
*中小法人等(資本金等の額が5億円以上の法人等の100%子法人を除く)
*銀行、保険会社等、リース会社等
つまり、銀行など一部の会社を除き、大きな会社や大きな会社の100%子会社については、貸倒引当金を計上しても税金計算上の経費としては認められないということになるわけです。
なお、貸倒引当金の計上が認められる法人であっても、いくらでも引当金の計上が認められているわけではありません。
利益調整、税金調整ができてしまいますので、当たり前なのですが。。
ということで、実際に
・どのような債権について
・どのような計算方法が認められているのか
については、次回に書きたいと思います。
【編集後記】
昨日は、突然、PC(Mac)のParallelsが調子悪くなり、Windowsにつながらなくなるハプニングに見舞われました。
とりあえずアンインストールと再インストールで使えるようにはなりましたが、いったいなんだったのか、よく分かりません。
悪戦苦闘した数時間!(かけすぎ??)、返して欲しいです。。
【昨日の1日1新】
*「1日1新」とは→詳細はこちら
Parallelsのアンインストール
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