税務+会計+ときどきゴルフ

「楽器」にも減価償却できるものとできないものがあります。美術品?価値が減少しない??

「ココイチ」創業者の方に関する「20億円申告漏れ」のニュースを見かけました。
減価償却できない資産を減価償却してしまった、というのがその理由のようです。

記事の内容には一切関係ありませんが。。。

「20億円申告漏れ」に関する概要

「ココイチ」創業者の方(厳密には資産管理会社)に関する
「20億円申告漏れ」
がインターネット上のニュースサイトでも記事になっていました。

20億円という金額、ココイチという馴染みがあるお店、ということで記事を目にした人も多いかもしれません。

記事によると、ざっくりと次のような経緯だったようです。

・「ココイチ」創業者の方の資産管理会社が、バイオリン「ストラディバリウス」など、高級楽器の減価償却費を計上していた
・税務調査で「減価償却費の計上が認められない」として、20億円の申告漏れを指摘された
・顧問税理士からは「減価償却できる」と言われていて、それを信じていた
・過少申告加算税を含めた追徴税額は約5億円で納付済み
・税理士に対しては法的措置を検討している

同社は高級楽器を国内外の有望な音楽家に無償で貸与しているらしく、それらの楽器の減価償却費に関する指摘だったということですね。

減価償却とは?

今回の指摘は、
減価償却できる<=>減価償却できない
という問題に起因しています。

で、そもそもこの減価償却っていうのが分かりにくいものだったりします。

Wikipediaでは、次のような説明がされています。

減価償却とは、企業会計に関する購入費用の認識と計算の方法のひとつである。長期間にわたって使用される固定資産の取得(設備投資)に要した支出を、その資産が使用できる期間にわたって費用配分する手続きである。

なんだかピンとこない、分かったような分からないような・・・というところかもしれません。

たとえば仮に、100万円の車を買ってそれを5年間使用するとします。

車は使えば使うほど、年数が経てば経つほど(古くなるほど)その価値は下がりますので、仮に5年後には価値が0円になったとします。

つまり
・100万円で車を購入
・5年間使用
・5年後には価値が0
と仮定します。

ではあとは、これを会計、税金計算の世界でどう考えるか?という問題です。

・買ったときに100万円を費用計上してよい?
=>5年間使えるものを買ったときに全部費用計上したらやり過ぎ

となりますし

・費用計上せずにそのまま「車=100万円」として資産に残しておいてよい?
=>5年後に価値0なのに、100万円の資産価値があるように見えるのは変

ということになります。

で、結局のところ、この場合、5年間で少しずつ費用処理していく、ということになるわけです(方法はいくつかありますが)。

この費用処理することが「減価償却」というものです。

言い換えると、

将来に向かって資産の価値が減っていく資産(減価償却資産)については、その価値が減少する分をどのように経費にしていくか?

の問題になります。

逆に言えば、「資産の価値が減らない」ものは減価償却はしない(できない)ということになります。

これが今回の「高級な楽器」に適用された考え方というわけです。

減価償却できない資産?

上述のとおり、「時間の経過に応じて価値が下がっていくもの」は、その価値が下がる分を、一定のルールに基づいて経費にしていくわけです。

・何をもって価値が下がると考えるのか?
というのはなかなか難しい部分でありますが、今回の「高級な楽器」のように、減価償却ができないとされている資産は他にもあります。

税務の世界では「時の経過によりその価値が減少しない資産」として
・土地
・絵画、骨董などの美術品
などが挙げられています。

少し難しいのは、「一般の」楽器の場合、減価償却することは可能ということです。

法定耐用年数表でも「楽器:5年」とありますので、事業に使っている「一般の」楽器であれば、減価償却できるということです。

知恵袋のQAでも詳細を確認せずに「減価償却可能!」というやり取りもありましたね。。。

結局、「時の経過により価値が下がるのかどうか」に拠ってくるわけですね。

なお美術品等については、

・価値が減少しないものであるかどうかが明らかなもの
=>それ次第で減価償却資産かどうかを判定

・価値が減少しないものであるかどうかが明らかでないもの
=>取得価額が100万円未満であるものは減価償却資産に該当(減価償却する)

とされています。

国税庁のFAQでも例示はありますが、最後は「実態を踏まえて・・・」ということになってしまうのでしょうね。

いずれにしても「特殊なもの」「希少性があるもの」については、ちょっと取り扱いが変わるかも?ということは頭の片隅に入れておいたほうがよいかもしれませんね。


【編集後記】

昨日は午後からみっちりと相続シミュレーションをやったあとで、軽く情報交換会でした。
解が1つではないことをいろいろと考えることは楽しくもあり、難しくもあり。。。

【昨日の1日1新】
*「1日1新」とは→詳細はこちら

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