契約書を取り交わしていない。
これはなにも吉本興業に限った話ではありませんね。税理士業界でも・・・
吉本興業で「契約書がない」のは異常なこと?
一連の吉本興業を巡る報道のなかで話題になっていたのが
会社と芸人さんとの間で契約書がない
という問題でした。
・契約書がないなんておかしい、異常だ!
とか
・とは言え、契約書がなくても契約は成立するし・・・
とか、いろいろな意見が飛び交っているのを目にしました。
もちろん一般論として、あるいは感覚的にも
契約書がないのはどうなの?
という意見はもっともだと思います。
ただ、
それが異常なのか?
といえば、
決してそんなことはないのではないかな、そんなもんじゃないのかな
と思ったりもしています。
芸人さんが、吉本の社員でもなく、雇用関係もないのであれば、
一般の会社から見た場合、外注先、業務委託先の職人さんと同じ位置付けになります。
一般の会社が
いつ取引が発生するか分からない外注先の職人さん全員
と契約を結んでいるでしょうか。
もちろんそういう会社もあるでしょうが、そこまでしていない会社も多いのではないでしょうか。
税理士でも、顧問先と契約書を取り交わしていないところは結構多い気がしています。
契約書や書面の取り交わしはお互いのため
契約書を取り交わしていない場合にも、実はメリットはあるようです。
明文化されていないからこそ、
・自由にやれる
・厳しい義務を負わなくて済む
というような感覚を持つ人もいるのだとか。
テレビで見ただけなので、事実は分かりませんが、
吉本興業が契約を結んでいないのであれば、芸人さんが吉本に不祥事等で何らかの損害を与えたら、どのように補償させるのか?
という疑問に対して、そんなケースで今までに一度も補償をさせたことがないと聞きました。
それが「契約がないから」なのか、ポリシーなのか分かりませんが、ある意味では、芸人さんにとっては契約書がなかったほうが都合がよかったのかもしれません!?
それはさておき、やはり契約書や何らかの書面での取り交わしはしておいたほうがよいですし、それはお互いにとってメリットがあると考えています。
「やるべきこと、まもるべきこと」が明確になることで、勝手な思い込みがなくなりますし、
・事前にお互いの期待レベルを合わせることができる
・義務を負うだけでなく権利を主張することができる
というのも大きなメリットです。
私自身の失敗談ですが、以前、
・契約書は取り交わした。
・ただし書面に残しにくい事項について、口頭で合意していた(書面上の表現は曖昧)。
・徐々に相手の要求がエスカレートしてきて合意事項が守られなくなった。
ということがありました。
結局、お互いストレスフルな状況になり。。。
分かりきっていたことではありましたが、
お互いの期待レベル、やるべきことをきちんと明文化しておくことが大切
だと、再認識した出来事でした。。。
また、
やることを明確にすることで、やらないことを定義することができる!
というのもメリットですね。
「〇〇をやります」という縛りにより、「〇〇以外のもの、たとえば△△はやらない」ということも定義することができます。
たとえば、
「毎月1回訪問して、3時間のミーティングをやります」
という契約があったとすると、
月に2回、3回のミーティングは契約外(必要ならオプションで!)
ということになります。
きちんと義務を負うことも忘れずに!?
このように契約書あるいは書面の取り交わしはお互いにメリットがあります。
ただ、それと同時に、
書いたからには相応の責任を負う
ことも認識しておく必要があります。
上述のケースでは「月1回、3時間の打合せ」と決めているのに、2ヶ月に1回しか訪問しなければ契約に反しています。
また、「この業務に対して〇〇円の報酬を支払います」と契約したのであれば、たとえ会社が赤字でもこの「〇〇円」は払う必要があります。
このように、契約するからには「義務を負う」こともきちんと押さえておかなければなりません。
いいとこ取りはできない、ということですね。
ちなみに
契約書(紙)がなくても契約は成立する。
と言いますが、実際には分かりにくいですし、細かな内容まで紙無しで押さえておくのは厳しいです。
相手のこと、相手との関係性、自分のこと、を守るなら、しっかりと契約しておくことが大切だと改めて感じています。
【編集後記】
この時期、外を歩き回る仕事をしている方は、体調に気をつけないと危ないですね。
豊島南大塚郵便局
ファミリーマート南大塚店