会社の決算期・決算日をいつにするのが良いか?
検討する際に考えておいたほうが良いポイントを簡単に整理してみます。
会社における決算期/決算日
通常、会社では定款により事業年度を定めています。
事業年度はたいてい1年間で、「1月1日〜12月31日」あるいは「4月1日〜9月30日」と定めている会社が多いのではないかと思います。
この場合の「12月」または「9月」が決算月であり、その最後の日「12月31日」または「9月30日」が決算日ということになります。
この決算月・事業年度というのは、会社が自由に設定することが可能です。
例外的に何らかの成約を受けるのは
・銀行法で4月1日〜3月31日が事業年度と定められている銀行
・親会社の決算期に合わせざるを得ない子会社
・外国の子会社と決算月を合わせざるを得ない日本国内の親会社
などが挙げられますが、該当しない会社のほうが圧倒的に多いと思います。
決算日はいつにするのが良いか?
では、会社が自分たちにとって都合が良い決算日を定めることができるとした場合、いつにするのが良いのでしょうか。
検討する際に考慮すべきポイントをいくつか考えてみます。
忙しさの観点から
事業年度が終了すると、会社では経理部門(管理部門)を中心にして、財務諸表を作成したり税金の申告をしたり、といういわゆる決算業務が行われます。
日常業務に加えて決算業務を行うことになるため、会社の繁忙期に決算業務を行うことはできれば避けたいところです。
例えば、年度末の3月が本業で忙しいという会社の場合、決算業務が3月に発生することを避けるためには、1月決算や2月決算は避けたほうが良いということになります。
(原則として決算日から2ヶ月以内に財務諸表の作成や税金の申告が必要になるため)
資金繰りの観点から
上記の決算業務とも関連しますが、決算日から2ヶ月以内に法人税などの税金を納付する必要があります。
納税額がどれくらいになるのか次第ではありますが、「支払いが多い」とか「入金が少ない」など、資金繰りの厳しい月が決算日の2ヶ月後にくることは避けるべきなのではないかと考えています。
利益管理の観点から
付随的なものではありますが、利益管理の観点からも検討しておく必要があります。
1年を通じて事業年度の後半〜終盤にかけて忙しい(売上が多い)会社の場合、
・1年を締めてみたら思った以上に売上や利益が多く出た。
・1年を締めて見たら売上や利益が目標に対して未達だった。
という可能性があります。
事業年度の後半〜終盤における売上・利益の比率が大きい場合、早い時期から業績見通しを作成したとしてもその精度はイマイチ、ということも多いのではないでしょうか。
事業年度の終わりが近づいてから、必達目標に少し足りない」ということが分かったとしても、もはや手遅れとなってしまうリスクがあります。
税金対策の観点から
上記の「利益管理の観点」と似ていますが、税金対策の観点からも、事業年度の後半〜終盤にかけて利益が多く出るという状況はあまり好ましくありません。
事業年度の最後のほうで想定外に利益が出た場合、そのタイミングで採用することができる節税策は限られてしまうからです。
その点、もしも事業年度の前半に多くの利益が出たならば、その後にしっかりと利益計画を立てたうえで、必要なもの・必要なコトにはしっかりとお金をかけていき、結果として税金を減らすことができるかもしれません。
このように「利益管理」や「税金対策」という観点からは、事業年度の前半に繁忙期(売上・利益が多く計上される)が重なったほうが何かと便利なのではないかと考えています。
すでに決算日が決まっている場合
「いつ頃を決算日とするのがよいか」がなんとなく分かったとしても、「すでに決算日が決まっているから」という理由で諦めている方がいるかもしれません。
しかし、この決算日というのは変更することが可能です。
実際の手続きもそれほど面倒なわけではありません。
ちなみに節税目的だけで決算期を変更しようとする場合、租税回避行為とみなされてしまう危険性がないわけではありませんので、慎重に検討する必要があります。
そのあたりも踏まえつつ、現在定めている事業年度や本来望ましいであろう事業年度について、一度検討してみる価値はあるかもしれません。
【編集後記】
とあるセミナー会場にて、すぐ後ろの席に座ったおじさんが、講師の説明中にずっと「うん」「うん」と声を出しながらの相槌。
声が出ていることに気づいているのか気づいていないのか分かりませんが、たまにいますね、こういう人。
そっちが気になってしまう私は集中できていないことを反省しなければいけませんが!?
【昨日の1日1新】
*「1日1新」とは→詳細はこちら
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