会社が会計処理をする際に、従うべきとされている原則的な考え方が「企業会計原則」です。
これは法律で定められているものではありませんが、会計処理に関する原則的な考え方になりますので、経営者であれば、一度は目を通しておいても良いのではないかと考えています。
企業会計原則とは
企業会計原則とは
「長年の経理実務で慣習とされてきたものの中で公正妥当と認められるものをまとめたもの」
であるとされています。
一般原則、貸借対照表原則、損益計算書原則に分かれていますが、今回はその中でも基本となる一般原則を簡単に確認します。
なお、基本となる考え方について、ざっくりこんなものかと把握しておく程度でも十分なのではないかと思います。
企業会計原則:一般原則について
一般原則は全部で7項目あります。
1.真実性の原則
・・・会社の財政状態や経営成績は真実な報告であるべき。
2.正規の簿記の原則
・・・正規の簿記の考え方によって正確な会計帳簿を作るべき。
3.資本利益区別の原則
・・・増資などの資本取引と損益取引を区分すべき。
4.明瞭性の原則
・・・利害関係者に対して会社の状況を明瞭に知らせるべき。
5.継続性の原則
・・・会計処理の原則や手続きをみだりに変更しないようにするべき。
6.保守主義(安全性)の原則
・・・会社にとって不利な影響の可能性があれば、それに備えた会計処理をするべき。
7.単一性の原則
・・・どんな目的で作成する財務諸表であれ、事実を歪めることはできない。
正確な規定の一字一句はググれば拾えますので、簡単な内容だけ書いておきます。
実務上、影響してくる可能性が高いもの
経理担当者の立場で考えると、一般原則のうち、1.2.3.7.については当然のことすぎて、実務ではあまり意識することはないかもしれません。
逆に、4.5.6.については、経理処理について検討する場合に、判断の拠り所にするケースも少なからずあります。
例えば次のような感じでしょうか。
*財務諸表で使用する科目や表示を迷う場合
→「4.明瞭性の原則」の観点から、どれが適当かを検討する。
*今までの会計処理と方法を変えたい場合
→「5.継続性の原則」の観点から、変更することに問題がないかを検討する。
*将来、損失が発生する見込みがある場合
→「6.保守主義の原則」の観点から、引当や損失計上が必要ないかを検討する。
「◯◯の原則」などと書くと、とっつきにくそうなイメージがありますが、このように書いてみると、別にたいして難しい話ではないということが分かります。
終わりに
経営者の立場であれば、企業会計原則については、全てを覚える必要はありません。
また、実務上は細かい会計基準で規定されていることが多いですが、これについてもあまり細かい内容をおさえる必要はありません。
その部分は専門家に任せれば良いという割り切りも必要ではないでしょうか。
ただ、専門家や経理担当者と会話する際、なぜ彼らがそのような判断をするのかを理解するためにも、企業会計原則のような原則的な考え方をサラッとおさえておくと良いのではないかと考えています。
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【編集後記】
会計ソフトの使い方を学ぶための講座があり、受講すべきかどうかの相談を受けました。
私としては、その値段なら安いと感じておすすめしたのですが、その方は「高すぎて申し込めない」とのこと(会社としてお金がないわけではなく、感覚的に高いと感じたようで)。
やはり、目に見えないものやサービスの値段というのは、感じ方もいろいろですね。
【昨日の1日1新】
*「1日1新」とは→詳細はこちら
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