商品や製品の販売を行っている場合、どれくらいの在庫を持つべきか、悩むことも多いのではないでしょうか。
在庫を多めに持つことのメリット・デメリット
商品や製品を販売する事業を行っている場合、在庫を持つことが一般的かと思います。
(受注生産や受注を受けてから発注しても間に合うようなビジネスを除き…)
そうすると、在庫をどれくらい持っておけば良いか?ということに頭を悩ませることも多いと思います。
特に
・「欠品によりお客さんに納入できない」ことが許されない
・仕入先が欠品状態であり、発注してもいつ納入されるか分からない
というような状況だと、多少は在庫を多く持っておきたいということもあるでしょう。
在庫を多く持つことのメリットは(商売の内容にもよりますが)、
・欠品を心配する必要がなくなる
・注文が来たのに、「在庫がない」という理由で失注することを防げる
・発注業務を頻繁にやらなくて済む
などになるかと思います。
一方、在庫を多く持つことのデメリットは
・在庫を長期間持ち続けることになり、その間に品質が劣化する可能性がある
・型落ちやスペック変更により、売れ残ってしまうリスクがある
・在庫の保管スペースが必要(外部倉庫を借りていれば保管料がかかる)
といったあたりが分かりやすいところです。
さらにデメリットの1つとして、資金繰り悪化の原因になり得るということが挙げられます。
「在庫を多めに持っておこう」が資金繰り悪化の原因!?
在庫を多く持つことのメリットを重視して、
「在庫を多めに持っておこう!」
と決断するケースがあるかもしれません。
事業として必要であればやるべきかもしれませんが、資金繰り悪化の原因になる可能性があることは理解しておく必要があります。
とりあえず次のケースで、影響を見てみます(現金商売を前提)。
・在庫がないビジネス
・在庫があるビジネス
・在庫があるビジネスで在庫を特別に多く持つケース
在庫がないビジネス
サービス提供などのビジネスの場合、そもそも在庫がありません。
例えば、サービスを提供して売上が100の場合、そのサービスを提供したときに「100」を回収して終わります。
人件費などの経費がかかりますが、とりあえず無視すると、単純に現金が入ってきて終わりです。
在庫があるビジネス
次に、在庫の購入単価が「80」、売上が「100」の場合で考えてみます。
まず在庫を仕入れるために「80」を支払います。
そして、その在庫が売れたときに「100」が入金されることになります。
「お金」の動きで考えてみると、
・最初に「80」を払っておき
・後から「100」が入金される
ので、売上が上がるまでは、自分が「80」を立て替えていることになります。
ちなみに、いつまでも売れなければ、いつまでも「80」を立て替えたままになります…
在庫があるビジネスで在庫を特別に多く持つケース
上記と同様、在庫の購入単価が「80」で、売上が「100」の場合で考えてみます。
何らかの事情で在庫を多めに5個仕入れたとすると、まず「400(80*5=400)」を支払います。
そしてそのうちの1個が売れたときに「100」が入金されることになります。
この時点ではまだ、在庫「320(80*4=320)」が残ったままとなっています。
つまり、すべての在庫が売れるまで、お金を立て替えたままの状態が続くということになります(「100」入金されているので、実質的には残りの立替は「300」)。
「お金」の動きで考えてみると
・最初に5個分の「400」を払っておき
・1個売れるごとに「100」が入金される
ので、すべてが売れるまでの期間、何らかの立替が発生していることになります。
このように、在庫を多く持つということは、販売できるまでの期間、在庫の購入代金を立て替えていることになり、それだけ資金を眠らせておくということに繋がるわけです。
結果として、金額のバランス次第では、資金繰りを悪化させる原因になりかねません。
もしも「最近資金繰りが悪化している」とか、「現金が足りなくなりがち」などと悩みながら、一方では「在庫をガッツリと多めに持つようにしている」なんてことをしているとしたら、ある意味では当然の結果なのかもしれません。
ここまでシンプルでないとしても、似たようなケースは結構あるのではないかと感じています。
在庫販売はリスク
ちなみに在庫販売は、それ自体がリスクであるとも言えます。
もちろん、在庫を持つこと自体が他社(他者)との差別化に繋がるのであれば、やむを得ない場合もあるでしょう。
ただし前述したように、在庫を持つこと(特に持ちすぎること)にデメリットがあるのも事実です。
・できれば在庫を持たないビジネスをする
・受注生産、あるいは受注してから仕入先に発注するなど、自社での在庫リスクを減らす
・それらの対応が難しい場合には、可能な範囲で余分な在庫を持たないようにする
という工夫も必要になってきます。
感覚だけで捉えるのではなく、他社がどんな工夫をしているのかなど、研究してみるのも良いのではないかと考えています。
【編集後記】
ゴールデンウィークが終わりました。
まとまった時間を確保してやりたいことができた人、なんとなくダラっと過ごしてしまった人など、いろいろかと思います。
私自身は満足度60%くらいで、ぎりぎり合格ラインかなといった感じで終わってしまいました。
【昨日の1日1新】
*「1日1新」とは→詳細はこちら
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