会社や個人が行う「事業」に対して課される事業税。
そのうち、法人事業税を計算する基礎となる「課税標準額の計算方法」を整理してみます。
課税標準の確認
法人事業税は次の計算式で算定します。
法人事業税額=課税標準額 × 税率
そして、行っている事業の種類や会社の規模によって「課税標準(額)」や「税率」が異なります。
簡単に書くと
・電気供給業、ガス供給業、保険業:各事業年度の収入金額
・それ以外の事業(資本金1億円以下):各事業年度の所得
・それ以外の事業(資本金1億円超):各事業年度の付加価値額、資本金等の額、所得
ということになります。
課税標準額の計算方法〜所得〜
法人事業税を計算する基礎となる「所得」は、一部の例外を除いて、法人税の所得の計算とほぼ同じ、「所得=益金 ー 損金」で計算します。
基本が「所得」なので、
・利益がたくさん出た年は、法人税額が増えるのと同じように事業税額も増え
・利益が少ない年は、法人税額が減るのと同じように事業税額も減る
というイメージです。
一部の例外として、法人税と法人事業税とで取り扱いが違うのは次のようなものです。
(多くの会社にとってはあまり関係ないものも含まれています)。
・海外投資等損失準備金(法人税で認めている損金算入、益金算入を適用しない)
・社会保険診療等(医療法人の社会保険診療にかかる所得には課税しない)
・繰越欠損金(法人税で認められる繰戻還付の適用はない)
・所得税額(損金に算入しない)
・外国税額(一部の外国税額を損金に算入する)
いろいろと細かな論点もありますが、とりあえず法人税の所得とほぼ同じという理解で良いのではないかと思います。
課税標準額の計算方法〜外形標準課税の対象法人〜
外形標準課税の対象法人については、課税標準額は次の3つの合計額です。
・付加価値額
・資本金等の額
・所得
このうち所得は前述したものと同様です。
付加価値額
付加価値額は次の算式で求めます。
付加価値額=報酬給与額+純支払利子+純支払賃借料±単年度損益
報酬給与額
報酬、給料、賃金、賞与、退職手当、確定給付企業年金・確定拠出年金等の掛け金などの合計額
*派遣社員を受け入れている場合には、対価の75%を加算
*法定福利費、福利厚生費、非課税通勤手当は含まない
*法人税で損金算入されるもの
純支払利子
純支払利子=支払利子の合計額 ー 受取利子の合計額
*マイナスのときは0
*支払利子は法人税で損金算入されるもの、受取利子は法人税で益金算入されるものに限る
純支払賃借料
純支払賃借料=支払賃借料の合計額 ー 受取賃借料の合計額
*マイナスのときは0
*支払賃借料は法人税で損金算入されるもの、受取賃借料は法人税で益金算入されるものに限る
単年度損益
単年度損益=各事業年度の益金の額 ー 各事業年度の損金の額
基本的に法人税の所得の計算と同じ方法になり、取り扱いが違うのは次のものになります。
・青色欠損金等の繰越控除はしない。
・海外投資等損失準備金(法人税で認めている損金算入、益金算入を適用しない)
・社会保険診療等(医療法人の社会保険診療にかかる所得には課税しない)
・所得税額(損金に算入しない)
・外国税額(一部の外国税額を損金に算入する)
雇用安定控除
報酬給与額が一定の基準を超えている場合には、付加価値額から一定の金額を控除することができます。
資本金等の額
法人税法で規定する資本金等の額になります。
なお、次の法人について例外的に特別な計算をすることになります。
・持ち株会社
・資本金等の額が1,000億円超
・国内だけでなく外国にも事務所などを設けている法人
などなど。
おわりに
外形標準課税の対象法人でなければ、事業税の計算などあまり意識していないかもしれません。
一方、外形標準課税の対象法人であれば、自社で必要な項目(給与、利子、賃借料など)の集計が必要になりますので、計算方法を理解しておく必要があると思います。
前述していますが、外形標準課税の場合の
・報酬給与や支払利子、支払賃借料は損金に算入されるものだけ
・受取利子、受取賃借料は益金に算入されるものだけ
が対象となります。
例えば、損金不算入の役員報酬があった場合、もしも勘定科目の合計金額だけを拾うと
「損金不算入(役員報酬など)のものを課税標準に含めてしまい、税金を払い過ぎてしまう」
ということも起こりかねませんので、注意が必要です。
いったん計算する仕組み、フォームを用意してしまえば、あとはそこに必要な金額(数値)を入力することで集計が可能になりますので、最初に手間をかけてしっかりと準備しておくことが大切になりますね。
【編集後記】
最近、自分が通っていた24/7ワークアウトに通っている(いた)知人が増えてきました。
テレビCMも始まっているみたいです。
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