外国から商品などを輸入する場合には、税関に対して輸入に関する申告手続きをしなければなりません。
これがなかなか分かりにくいところもあり、「間違えていることに気づかない」ということもあるので注意が必要です。
目次
輸入取引に関する消費税の取り扱い
外国から商品などを輸入する場合、原則として輸入時に消費税が課されることになります。
(例外的に消費税が課されないと決められているものもあります)。
この場合、輸入者は税関に対して、
・輸入に関する申告をして
・必要であれば消費税、関税を納付して
・それから商品を受け取る。
という流れになります。
この申告などの手続きは、一般的には、「乙仲」と呼ばれる業者さんに対応してもらうことが多いのではないかと思います。
イレギュラーな状況で間違いが起こりやすいケース
この輸入に関する申告で間違いが起こるパターンとしては
・そもそも申告が漏れてしまう。
・申告する金額を間違えてしまう。
ということが考えられます。
「商品を輸入するタイミングで乙仲に依頼して申告するのだから、間違いは起こらないのでは?」と考えてしまいがちですが、実際にはそんな単純にはいかないわけです。
(もっと分かりやすい仕組みにしてもらいたいと思いますが!?)
ハンドキャリーの場合
申告が漏れてしまう例で分かりやすいのは、海外からハンドキャリーする場合です。
いろいろな事情(納期など)で海外で仕入れたものや受け取ったものを本人が手荷物として直接国内に持って帰ってきた場合、輸入通関の手続きが必要になります。
もしも帰国時にその手続きを忘れてしまうと申告漏れになってしまいます。
支払いの対象物が輸入されない場合
また、「海外にお金を送金したが、その支払いの対象物が国内に入ってこない取引」も申告漏れには注意が必要です。
例えば、海外の仕入先で使用する金型費を負担した場合が典型的な例です。
取引を通じて実際に送金するのは
・当社が負担する金型費
・その金型を使用して製造される商品の仕入代金
という2種類になります。
商品は実際に輸入されるので、商品の輸入時に申告手続きをすれば漏れることはありません。一方の金型は、海外の仕入先で保管されているため日本国内には輸入されません。
このような場合、金型費は「金型が国内に輸入されないから申告手続きが不要」とはならず、商品を輸入するために支払われたものとして申告手続きが必要になるのです。
また似たようなケースで、海外の仕入先に対して「輸入商品に関する開発費」を国内の会社が負担する場合も申告が必要になります。
申告に使用する書類の金額が間違えている場合
輸入申告で使用する書類に記載された金額が間違えている場合、結果的に申告金額を間違えてしまうことになります。
例えば、100万円の価値があるもの(消費税率8%なら消費税額8万円)を、1万円の価値として申告した場合、消費税額は800円となってしまいます。
仮に海外の仕入先が作成した書類が間違っていたとしても、輸入者側がきちんと申告をする義務がありますので、注意が必要です。
また、書類の間違いではありませんが、一部代金を前払いしていて残りを輸入時に支払う場合にも注意が必要です。
例えば、総額200万円の商品を「前払い100万円、輸入時に100万円」支払う取引の場合。
商品を輸入する際、100万円は支払い済みのため、残りの100万円を支払うことになりますので、仕入先からの請求書は残りの100万円となっています。
そして、その請求書の金額で輸入申告を行ってしまうと、100万円しか申告していないということになってしまいます。
正しい仕入金額は200万円ですので、この場合には「200万円」として申告をしなければいけないということになります。
このような事例を挙げるとキリがないのですが、参考までに税関ホームページの質疑応答事例のリンクを貼っておきます。
http://www.customs.go.jp/zeikan/seido/kanzeihyouka/hyokajirei/jireishu.htm#01
まずは最低限意識しておくべきこと
このように間違えて申告をしてしまった場合、税関による輸入事後調査で間違いが発覚し、修正申告をすることになります。
上記リンク内にも書いていますが、調査に入ったうち約70%の輸入者で申告漏れ等が見つかっているようです。
申告をごまかそうとしている場合は論外ですが、「悪気もなく、申告が間違っているという認識もなかった」というケースが結構な割合を占めているのではないかと感じています。
特に輸入取引を始めたばかりとか、今まで事後調査に入られたことがなかったという場合には、「指摘されて初めて知った」ということも多いのではないでしょうか。
理想としては
「会社側で100%正しく理解して間違いのない申告をする」
ということですが、いきなりだとハードルが高いかもしれません。
その場合には、せめて「どのようなケースでは気をつけなければいけないか?」をざっくりと意識しておくだけでもかなり効果があるのではないでしょうか。
例えば
・海外との間で、商品やその他の資産を送ったり、輸入したりする。
・海外との間で、何かしらの理由でお金の送金が発生する。
というような取引があれば、「輸入申告が必要になる可能性はないか?」を確認するクセをつけ、必要に応じて顧問税理士などの専門家などに確認することにしていれば、間違いを減らすことができるはずです。
また、経理担当者と営業担当者など(海外とやり取りする人)が分かれている場合、経理担当者だけでは情報が少なくて判断ができないケースも想定されます。
そのような組織であれば、営業担当者にも概要をしっかりと理解してもらうということが大切なポイントになります。
【編集後記】
同じようなタイミングで生まれて同じ環境で過ごしても、大きく成長したりしなかったり。
この違いは何なのだろうか?と、大きくなり始めたメダカの子供を大人用の鉢に移しながら考えていました。
【昨日の1日1新】
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