「モノ」は大切にしなければいけませんが、会社や個人事業の場合、それが必ずしも得策であるとは限りません。
古い在庫や売れなくなった在庫も大切なモノ?
会社や個人事業で在庫販売取引を行っている場合、古い在庫や売れなくなった在庫が倉庫に眠っているということもあるのではないでしょうか。
・古くて型落ちになった商品
・梱包状態が悪くて出荷できない商品
・過去に大量に仕入れたものの少しずつしか出荷されない商品
・販売単価の相場が下がっていて、販売しても赤字になってしまうから販売できない商品
・品質に問題があるものの手直しをすれば販売できるからそのまま保管し続けている商品
などなど。
経営者にとって大切な「モノ」であることは確かです。
子供の頃から「モノ」は大切にしなければいけないと習ってきましたので、
・簡単には捨てられない(「モノ」は大切にしなければ?)
・捨てたらもったいない(いつかは売れるかも?)
という感覚で、そのままズルズルと保管し続けてしまっているケースも多いのではないかと。
(個人的にはよく理解できます)
それはそれで、道徳的・人間的・文化的には正しい部分もあるかもしれません。
ただし経営者としては、売れない在庫は「いらない在庫」であるとはっきりと認識する必要があるのではないでしょうか。
いらない在庫を保管し続ける問題点
いらない在庫をたくさん保管し続けることには、いろいろな問題点があります。
・いらない在庫のためにも在庫の保管スペースが必要
・外部に倉庫を借りているならば、いらない在庫のために保管料を支払わなければならない
・倉庫が狭い場合、いらない在庫のせいで、入出庫作業の効率が悪くなる可能性がある
・棚卸しや在庫管理の手間が増える
・資産としての価値がない(将来お金に換わらない)のに貸借対照表の資産に含まれている
もったいないと思って「いらない在庫」を保管し続けることには、このような問題点があるということは認識しておく必要があるのではないかと思います。
いらない在庫を処分するメリット〜節税効果も〜
いらない在庫は「売れない」わけですから、基本的に処分したほうが良いです。
いらない在庫を処分する主なメリットは、前述の問題点の裏返しですが
・いらない在庫が減ることで、在庫の保管スペースを有効に使えるようになる
・外部の倉庫に支払う保管料を減らすことができる
・入出庫作業の効率悪化を防ぐことができる
・いらない在庫にかかる棚卸しや在庫管理の手間を減らすことができる
・資産価値がない在庫を貸借対照表から除くことができる
といった感じです。
また、在庫を処分する場合、在庫の廃棄損という損失が出ることになりますが、それは税務上の経費(損金)として認められるものになります。
つまり、いらない在庫を処分することで、税金を減らすこともできるし、財務諸表も健全なもの(価値がない資産が載っていない)になるというメリットがあるわけです。
ちなみに、この在庫を処分することによる節税効果というのは、
お金を支出せずに利益を減らして税金を減らすことができる(廃棄費用を除く)
というのが、大きなポイントでもあります。
いらない在庫を確認するタイミング
では、このような「いらない在庫」がないかどうかは、いつ確認すればよいでしょうか。
理想は毎月の月次決算で確認することですが、現実的には難しいケースもあるでしょう。
その場合、四半期決算をやっている会社であれば四半期ごと、そうでない会社でも中間決算のタイミングでは確認してみるとよいと思います。
半年経つと、それなりに溜まってきている可能性もありますので。
なお、在庫の廃棄損を税務上の経費(損金)にするためには、期末時点で廃棄処理が終わっていることが条件になります。
つまり、期末に在庫表を確定させてから「いらない在庫」を特定したとしても、廃棄処理が間に合わずにその期の節税効果が取れなくなる可能性があるということです。
そのためには、期末の数ヶ月前に行われることが多いとされる、「税理士事務所との決算事前打ち合わせ」のタイミングなどで「いらない在庫」の目処をつけておき、期末までに廃棄処理も済ませておくというのが良いのではないかと考えています。
【編集後記】
今年に入ってからゴルフのラウンド回数が減少していました。
それを取り戻すべく?、7月・8月は「ガッツリ」と合計8回ほどの予定が入っているものの、第1弾となる明日は雨の予報。残念です。。。
【昨日の1日1新】
*「1日1新」とは→詳細はこちら