会社の事業が大きくなって、新たな場所に拠点などを設けようとする場合、「支店や営業所」を作るケースと「別会社(子会社)」を作るケースがあります。
「どちらが有利か?」という問題は、何を優先させるかによっても異なりますので、また別の機会に整理したいと思います。
子会社と取引する場合に意識しておくべきこと(特に海外)
今回は「すでに子会社がある。」ということを前提にしています。
子会社との取引が発生する場合に、最低限意識しておきたいことがあります。
それは、ごく当たりまえのことなのですが、
子会社はあくまでも別会社(=社外)であり、社内の支店ではない。
ということです。
別会社ですから、きちんとした理由もなく
・お金をやり取りする。
・費用を負担してあげる。
ということは認められません。
オーナーや親会社の立場からすると、「支店」でも「子会社」でも、どちらも自分のものという感覚で、両社の間には大きな違いが無いかもしれません。
ただし、子会社の場合にはあくまでも「別会社」になりますので、制約が出てきます。
国内の100%グループ内である場合、何らかの利益供与があった場合でもグループを一体とみなすことにより課税が生じないケースもありますが、基本的な考え方はおさえておいたほうが良いかと思います。
別会社だからこその制約
親子会社間での取引で考えると、やろうと思えば意図的にどちらかの利益を多くしたり少なくしたりすることは可能です。
しかし、税務上、特に外国にある子会社との間ではそのようなことは認められていません。
もしもそれがOKであれば、
・税負担が大きい国(例えば日本、アメリカ)にある会社の利益を意図的に減らす。
・その分の利益を、税負担が小さい国(タックスヘイブン)にある子会社が利益を取り込む。
ということが出来てしまうためです。
「本店」「支店」の場合、税金を払うのは同じ会社です。
しかし「親会社」「子会社」の場合、税金を払うのはそれぞれの会社ということになります。
国内であれば同じ税制の中で処理することになりますが、外国にある子会社であれば、税率など根本的に日本とは異なるところも多いはずです。
したがって、いくら子会社であるとはいえ、利益に影響するような調整は認められていないため、注意が必要です。
ちなみに税務上の問題だけでなく、本来のあるべき正しい利益にならないのであれば会計上もNGということになります。
例えば、連結決算の対象となっていない子会社があるとした場合、親会社の経費を連結対象外の子会社に負担させてしまうと、見かけ上の連結数値は実態よりも良いものになります。
ただしこれが正しい処理でないことは明らかですね。
「取引」にはちょっとした経費も含まれます
なお、ここでいう取引は、いわゆる仕入取引や販売取引だけではありません。
ちょっとした経費であったとしても、原則的な考え方は変わりません。
例えば親会社と子会社が一緒にサービスを受けるような場合、
・子会社が赤字だからとりあえず親会社が費用を負担しておこう。
・子会社の業績が好調だから子会社に費用を負担させよう。
といった判断をしがちですが、原則としては認められません。
親会社も子会社もサービスを受けるわけですから、それぞれがきちんと費用を負担しなければならないのは当然です。
最後に
とはいえ、少額のものを含めて何から何まで、杓子定規に対応しなければならないとまでは考えていません。
税金を払う覚悟で、あえて違った判断をすることが必要な場面もあるかもしれませんし。
ただし、この「どちらの会社が負担するか」という問題は、「子会社に対する寄付」や「移転価格税制」といった税務判断が必要なものにも繫がっていくものです。
「悪気はないのに認められない処理」を選択してしまうことで、余計な税金を支払うことにならないように、別会社であることの意味をきちんと整理しておく必要がありそうです。
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【編集後記】
男子ゴルフの日本オープンゴルフ選手権では、石川遼、松山英樹、アダム・スコットの3選手が昨日と今日の2日間、一緒の組でラウンドしていました。
予想通り、かなり多くのギャラリーが集まったようです。
よりによってこの時期でなければ、絶対に見に行っていたはずですが・・・
こんなチャンスは2度とないかもしれないだけに、残念でした。
【昨日の1日1新】
*「1日1新」とは→詳細はこちら
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